1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03671153
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芳野 原 神戸大学, 医学部, 助手 (70174969)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 芳子 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
前田 英一 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
|
Keywords | 遺伝子解析 / LCAT / Ndel digestion / PCR |
Research Abstract |
我々は今回LCAT欠損症患者の遺伝子解析を試みた。初年度には先ず、1家系の遺伝子変異の解析を行った。即ち、本患者の白血球よりゲノミックDNAを採取し、患者LCAT遺伝子の全エクソン(I〜IV)及び、エクソン/,イントロン移行部の各領域をPolymerase chain reaction(PCR)法にて増幅した。さらにPCR一次産物を非対称PCR法にて増幅し、一本鎖変異DNAを得、直接法にて一本鎖変異DNAの塩基配列を決定した。即ち、第6エクソンに一塩基置換(G→A)が見出された。症例はこの変異のホモ接合体であった。これにより、患者LCAT蛋白の293番目のアミノ酸がメチオニン(ATG)からイソロイシン(ATA)に置換しているものと考えられた。このミスセンス変異は制限酵素NdeIによる新たな認識配列を構成することより、家系内で、NdeIによるPCRーRFLPを検討したところ、症例とその妹はホモ接合体で、血中LCAT活性は正常者の約10%以下と著しく低下しており、また二人の子供は、正常配列とのヘテロ接合体であり、その血中LCAT活性は正常人の約半分であった。これらより、この変異がLCAT活性喪失の原因であるものと考えられた。以上今回我々は家族性LCAT欠損症患者の遺伝子解析を本邦症例で初めて行い、エクソン6内のミスセンス変異を同定した。また、家系内検索でもこの変異遺伝子の存在と酵素活性低下の程度に一致がみられた。現在、この変異によるLCAT活性欠損のメカニズムを解明するため、点変異導入法を用いてin vitro発現系で得られたLCAT蛋白の検討を行いつつある。
|
-
[Publications] Eiichi Maeda,Yoshiko Naka,Takashi Matakaki,Maki Sakuma,Yasuo Akanuma,Gen Yoshino,Masato Kasuga: "Lecithinーcholesterol acyltransferase(LCAT)deficiency with a missence mutation in exon6 of the LCAT gene" Biochemical and Biophysical Research Communications. 178. 460-466 (1991)