1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03671174
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Research Institution | Institute of Clinical Medicine, University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長澤 俊郎 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70014298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 洋司 微生物工業技術研究所, 動物細胞研究室, 首席研究官
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Keywords | 血管内皮細胞 / 骨髄巨核球 / 巨核球成熟促進因子 / 血小板 / IL-1 |
Research Abstract |
血管内皮細胞から血小板放出を促進する因子が放出される機構を想定し、以下の研究計画を立案した。 1)ヒト血管内皮細胞は接触あるいは非接触状想でヒト巨核球系細胞株(CMK-7)を成熟させるか。 2)ヒト血管内皮細胞は骨髄から分離した巨核球をさらに成熟させるか。 3)ヒト血管内皮細胞を各種因子(特に血小板減少血清)で刺激した上清に血小板放出促進因子が含まれるか。 本年度は3)について研究計画に従い実験を行った。血管内皮細胞を血小板のlysate、IL-1で刺激し、洗浄後正常巨核球を培養し、細胞突起形成過程を観察した。その結果血小板のlysateで刺激した場合でも、IL-1で刺激した場合でも巨核球の細胞突起形成率は増加し、また長い細胞突起が形成されるのが観察された。 以上の結果は血小板lysateあるいはIL-1で刺激された血管内皮細胞は巨核球との接着性を増し、巨核球の細胞突起形成を促進すると推察された。しかし、両者間に明かな差異は見られなかった。 次に血漿凝塊の中に正常巨核球を埋没させ、血漿凝塊上に血管内皮を培養し、巨核球と血管内皮が直接接触しない条件で血管内皮細胞を血小板lysateあるいはIL-1で刺激した。その結果、巨核球の細胞突起形成率は軽度に増加したに留まった。この実験から巨核球の最終過程の成熟は血管内皮が重要な役割を果たし、特に巨核球と血管内皮細胞との間には特異な接着機構が存在すると考えられた。今回の実験から血小板の崩壊→血管内皮細胞表面での接着分子の発現→巨核球成熟の機構が存在すると考えられた。今後、巨核球と血管内皮細胞の接着機構の本態について解明することが必要であると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小松 恒彦,長澤 俊郎 他3名: "血管内皮細胞の巨核球成熟促進作用" 臨床血液. 33. 633-636 (1992)
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[Publications] 星 美紀子,長澤 俊郎 他3名: "血小板、巨核球のアデニンスクレオチドとセロトニンの同時定量法" 日本血栓止血学会誌. 3. 106-102 (1992)
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[Publications] 小松 恒彦.長澤 俊郎: "巨核球産生におけるストローマ細胞の役割" 造血因子. 4. 16-22 (1992)
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[Publications] 小松 恒彦,長澤 俊郎: "ヒト骨髄からの巨核球分離" 日本血栓止血学会誌. 4. 36-39 (1993)
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[Publications] T.Nagasawa,Y.Hasegawa et al: "Mensurement of megblaryocyte-associbted IgG in chronic idiopsthic thrombocytopenci purpura" Blood.
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[Publications] 長久 博志,長澤 俊郎 他2名: "Interleukin-6投与マウス巨核球,血小板のセロトニン,アデニンスクレオチドの変動" 日本血栓止血学会誌.
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[Publications] 長沢 俊郎: "血小板産生と機能" 中外医学社, 95 (1993)