1992 Fiscal Year Annual Research Report
多発性骨髄腫におけるインターロイキン6の恒常的発現に関与する転写調節因子の研究
Project/Area Number |
03671189
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田辺 修 広島大学, 医学部, 助手 (70221398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏本 淳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50034070)
河野 道生 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (40161343)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / インターロイキン6 / オートクライン / 増殖因子 / 転写調節因子 / NF-IL6 |
Research Abstract |
本研究の目的は多発性骨髄腫においてそのオートクライン増殖因子であるIL‐6の恒常的発現の機序を明らかにすることである。転写活性化因子NF‐IL6は,ヒト神経芽細胞腫株SK‐MG4においてIL‐1刺激によるIL‐6遺伝子の転写活性化に重要な働きをしていることが明らかにされている。NF‐IL6はIL‐6プロモーター上の特定の塩基配列に結合することにより IL‐6遺伝子の転写を活性化する核蛋白質である。NF‐IL6 mRNAの各臓器における発現は正常な状態では認められないがLPSなどの刺激により一過性に誘導される。我々は骨髄腫細胞におけるIL‐6恒常的発現へのNF‐IL6の関与の有無を明らかにする目的で,骨髄腫細胞におけるIL‐6と NF‐IL6のmRNAの発現をRT‐PCR法を用いて検討した。ヒト骨髄腫細胞株 KMS‐5およびU266においては,IL‐6とともにNF‐IL6mRNAの発現を認めその量はPHAとTPAで刺激した末稍血核球と同等またはそれ以上と思われた。一方,対照として調べたEBウィルス形質転換B細胞株においてはIL‐6の発現は認められず,NF‐IL6の発現もほとんど認めなかった。ついで8例の患者の骨髄穿刺激より分離した新鮮分離骨髄腫細胞を用いて検討したところ全例においてIL‐6とNF‐IL6 mRNAの発現を認めた。さらにNF‐IL6蛋白質の骨髄腫細胞における発現を検討する目的で,NF‐IL6結合領域の塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドをプローブとしてゲル・シフト・アッセイをおこなった。その結果,前記の二種類の骨髄腫瘍細胞株や新鮮分離骨髄腫細胞においてもNF‐IL6蛋白質の発現を確認することができた。 正常組織においてはNF‐IL6 mRNAの発現はほとんど認めないにもかかわらず,骨髄腫細胞においてはそのmRNAが恒常的に強く発現しており,その蛋白質も発現していることから骨髄腫細胞におけるIL‐6恒常的発現に転写活性化因子NF‐IL6が関与している可能性が強く示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田辺 修: "多発性骨髄腫とIL-6" 日本網内系学会会誌. 31. 437-446 (1991)
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[Publications] 田辺 修: "被爆者における多発性骨髄腫の細胞生物学的研究 4,IL-6転写調節因子NF-IL6の骨髄腫細胞における発現" 広島医学. 45. 405-408 (1992)
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[Publications] 田辺 修: "アンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いたIL-6産生制御" 臨床免疫. 25. 246-251 (1993)
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[Publications] Kawano ,M.M.: "Homotypic cell aggregations of human myeloma cells with ICAM-1 and LFA-1 molecules" British Journal of Hematology. 79. 583-588 (1991)
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[Publications] Ishikawa, H.: "Expression of DNA topoisomerase I and II gene and the genes possibly related to drug resistance in human myeloma cells" British Journal of Hematology. 83. 68-74 (1993)
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[Publications] Kawano, M.M.: "Identification of immature and mature myeloma cells in the bone marrow of human myelomas" Blood. (1993)