1991 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症幹細胞の分化と補体制御因子,細胞接着因子の役割
Project/Area Number |
03671200
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
金丸 昭久 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (70068534)
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Keywords | PNH / GPIアンカ- / DAF / HRF_<20> / 細胞接着因子 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
発作性夜間血色素尿症(PNH)の病態解明は進展し,GPIアンカ-構造の合成異常が基本的欠陥であることが明らかとなってきた。その異常が幹細胞の分化成熟過程で現われてくるのか,或いは幹細胞のレベルで異常が始まっているのかが課題であった。正常幹細胞では分化に平行して補体制御蛋白のひとつであるDAFというGPIアンカ-蛋白の細胞表面上の発現は増加する。一方,PNH幹細胞ではDAF発現の欠損がみられ,分化と平行して発現量の増加を認めない。幹細胞の段階で既に異常が生じていることを我々は提唱してきた。DAF以外にも多くのGPIアンカ-蛋白の欠損が報告され,補体制御蛋白であるHRF_<20>や細胞接着因子であるLFAー3等の発現異常が示されている。今回はPNH骨髄前駆細胞上のHRF_<20>および細胞接着因子のCD11/CD18の発現をまず検討した。PNH患者から骨髄細胞を採取しKACー2液で非貪食単核細胞浮遊液を作成した。HRF_<20>に対するモノクロナ-ル抗体を作用させてHRF_<20>陰性および陽性細胞群をFACSを用いて分画し,それぞれをメチルセルロ-ス法で培養し各種前駆細胞由来のコロニ-数を算定した。PNH3症例の各前駆細胞におけるHRF_<20>陰性と陽性の比率を平均±SDで表示する。CFUーEでは88.9±8.5%,11.1±8.5%CFUーGMでは81.5±6.6%,18.5±6.6%BFUーEでは89.4±5.2%,10.6±5.2%CFUーMixは全体で少数観察され,すベてHRF_<20>陰性であった。尚,正常の場合では大半の前駆細胞がHRF_<20>陽性であった。PNH幹細胞ではDAFに加えてHRF_<20>の発現も異常のみられることは補体活性化によって幹細胞障害が容易に生じることが推察される。現在,HRF_<20>陰性分画をさらにCD11/CD18のモノクロナ-ル抗体で再分画し幹細胞表面上の細胞接着因子の発現様式を検討中である。又,コロニ-構成細胞におけるこれらの発現量の分析も予定している。
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Research Products
(1 results)