界面活性剤の浸透性の制御と評価法の確立

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03680064
• Research Institution: Shiga University
• Principal Investigator: 多賀谷 久子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70024932)
• Keywords: 過渡現象 / 垂直浸透 / 界面活性剤 / 電気容量 / 毛管流 / ポリエステル布

Research Abstract

界面活性剤の浸透・湿潤性の良否は、洗浄、布の染色・加工、高速印刷その他広く界面活性剤を加えた溶液処理過程をともなう分野では基本的に重要な問題である。界面活性剤の浸透性の評価法は大変遅れており、定常状態や平衡における"分"あるいは"時間"のオーダーでの評価である。特に高速処理技術の進んだ今日、溶液の初期浸透速度は非常に重要な問題なのに、1秒以下の過渡状態に於ける浸透性に関する情報は皆無に等しい。
われわれが、新しく開発した電子回路技術を駆使したぬれの過渡現象測定装置を用いれば、これまで動力学的測定の困難であった界面活性剤水溶液の1秒以下の過渡的浸透ぬれ特性の研究が可能となる。そこでこの装置を用いて、各種界面活性剤溶液の布、紙などへの浸透の過渡現象を測定し、Levine et al、Szekely et al,その他の理論式の実験的検証を行い、われわれの測定データから得られた新しい物理的条件を加味した運動方程式を確立し、界面活性剤の構造と浸透性の制御と評価法を確立した。
ポリエステル布への浸透速度に及ぼす界面活性剤の親水基の効果を明らかにするため、疎水基の炭素数が12のものについて調べたところ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(n=18-10)が低濃度で最も良好な浸透性を示し、ついでSDS,ラウリルトリメチルアンモニウムブロミドが最も浸透開始濃度が高いことがわかった。親水基が同じとき、疎水基の炭素数が長い(10-16)ほど浸透速度が大きいことが明らかになった。

Research Products

• [Publications] Hisako Tagaya,: "Studies of Transient Phenomena in Penetration into Porous Medium by an Electric Capacitance Technique." Paper submitted to J.Colloid and Interface Sci.,November 20,1992 (MS#1062k). (1993)
• [Publications] Hisako Tagaya,: "Transient Phenomena in Penetration of Aqueous Surfactant Solutions." Paper Presented at 84th AOCS Annual Meeting April 28,1993.Paper submitted to J.American Oil Chemists'Society.(1993).(1993)
• [Publications] 多賀谷 久子: "ペーパークロマトグラフィーからみた繊維集合体の汚れ除去における界面活性剤の作用" 油化学. 41. 317-324 (1992)