1991 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエステル繊維及び綿混紡繊維の難燃化に関する研究
Project/Area Number |
03680080
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
増子 富美 日本女子大学, 家政学部, 専任講師 (10060708)
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Keywords | 難燃性 / ビニルホスホナ-トオリゴマ- / パッド・スチ-ム法 / 酸素指数(LOI) / 接炎回数 / ポリエステル繊維 |
Research Abstract |
ポリエステル繊維(PET)に難燃性モノマ-としてビニルホスホナ-トオリゴマ-(Fyrol 76)を用い、パッド・スチ-ム法を応用した後加工による難燃化について検討した。難燃性モノマ-として、Fyrol 76、アクリルアミド(AA)を、開始剤として水溶性アゾ化合物(Vー50)、過硫酸アンモニウム(APS)、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を用い、グラフト重合させた。モノマ-濃度は試料の風合との関連で25%とし、開始剤濃度はモノマ-濃度の10%で最も高いグラフト率を示したので、10%とした。グラフト率は重量法により求め、P量は(燃焼フラスコ法ナリンにナドモリブデン酸法)、N量はケルダ-ル法により求めた。燃焼性は酸素指数式燃焼試験桟と45度燃焼性試験桟により求めた。また、燃焼前後の表面状態をSEMにより観察した。 難燃性モノマ-であるFyrol 76およびAAを単独あるいは混合させてグラフト重合させたところ、開始剤にAPSを用いた場合に高いグラフト率を示した。グラフト効率はスチ-ミング直後ではほぼ100%を示したが、湯洗いにより70〜80%に減少した。加工により、酸素指数(LOI)値は22〜26と未加工布のLOI値18.5よりも高く、燃えにくくなっているが、限界LOI値28を下回った。PETのように燃焼時にドリップ現象を伴うような繊維ではLOIにより難燃性を評価することは必ずしも妥当ではないといわれているので、実際の燃焼状態に近い状況で燃焼性を測定できる45度燃焼性試験桟により難燃性を検討した。この方法では、接炎回数3回以上を示すと、難燃性があると評価されている。LOI28を下回った場合でも、この方法によれば、接炎回数3〜5回を示し、十分な難燃性を示した。Fyrol 76とAAの反応性を、P量、N量の分析値から比較検討すると、Fyrol 76の方が反応しやすい傾向がみられた。
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