1991 Fiscal Year Annual Research Report
味噌の香気成分としての含窒素および含硫化合物と味噌酵母との関わり
Project/Area Number |
03680089
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
石原 和夫 県立新潟女子短期大学, 家政科, 助教授 (00077489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 武夫 新潟大学, 農学部, 教授 (00018540)
本間 伸夫 県立新潟女子短期大学, 家政科, 教授 (50077484)
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Keywords | 味噌香気成分 / 揮発性含窒化合物 / 揮発性含硫化合物 / 耐塩性酵母 / Zygosaccharomyces rouxii / Candida versatilis |
Research Abstract |
味噌原料配合よりグルコ-スと18種アミノ酸及び食塩からなるモデル培地を案出した。このモデル培地を120℃で10分間加熱殺菌したところ、かなり濃い焦げ茶色を呈した。この培地を使用して、味噌酵母のZ.rouxii及びC.versatilisを30℃で15〜18日間培養したものを試料とした。水溶液中の香気成分の捕集・分析方法を確立後、GC及びGCーMSにより試料中の含窒素及び含硫化合物について分析した。結果はつぎのごとくであった。 1.モデル培地の香気は焦げ臭的な匂いが強く、あまり好ましい香りではないが、Z.rouxii培養では焦げ臭が減少し、酒様の快い香りが強く認められた。また、C.versatilis培養液ではZ.rouxii培養液に比ベ、発酵香気が弱く、且つ、焦げ臭が残っていた。2.モデル培地で認められた窒素化合物として量的に多かったのが、アセチルピロ-ル、ピラジンや炭素数1〜4の側鎖を持つピラジン類及びチアゾ-ル類などであった。これら化合物のうち、ピラジン類及びチアゾ-ル類は味噌酵母により減少する傾向にあるが、味噌酵母により新たに生成される窒素化合物はほとんど認められなかった。3.各試料中には多種類の含硫化合物が認められるが、モデル培地中で量的に多かったのがメチオナ-ル及び二硫化ジメチルなどであった。これら両化合物は味噌酵母により減少する傾向にあり、特にZ.rouxiiは両化合物をほぼ完全に消滅させた。逆に味噌酵母により数種の含硫化合物が生成されるが量的に多かったのはメチオノ-ルであった。 以上の結果より、モデル培地に認められる非嗜好的な香気の改善には、味噌酵母により生成されるアルコ-ル類及びエステル類などによるマスキング効果も考えられるが、含窒素及び含硫化合物の減少及び消滅が香気改善にかなり役だっていることが示唆された。これらの結果については平成4年度の日本醸造学会で発表の予定である。
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