1993 Fiscal Year Annual Research Report
味噌の香気成分としての含窒素および含硫化合物と味噌酵母との関わり
Project/Area Number |
03680089
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
石原 和夫 県立新潟女子短期大学, 生活科学科・食物栄養専攻, 助教授 (00077489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 武夫 新潟大学, 農学部, 教授 (00018540)
本間 伸夫 県立新潟女子短期大学, 生活科学科・食物栄養専攻, 教授 (50077484)
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Keywords | 味噌香気成分 / 揮発性含窒素化合物 / 揮発性含硫化合物 / 耐塩性酵母 / Zygosaccharomyces rouxii / 無菌醸造味噌 / aseptic miso |
Research Abstract |
平成3、4年度では合成培地を使用して検討したが、平成5年度では無菌味噌と普通味噌を使用した。無菌味噌と麹菌以外の微生物が熟成に関与しない味噌のことであり、温醸4ケ月(30℃-20日、36℃-20日、30℃-40日、20℃-40日)で製造した。普通味噌は種味噌として天然熟成味噌を仕込み時に5%添加し、熟成に酵母などの麹菌以外の微生物の関与を期待するものであり、他の製造条件は無菌味噌と全く同一にした。両味噌共、赤色辛口米味噌(米/大豆=0.6、食塩13.2%)に分類される。全熟成期間を通じて、無菌味噌では麹菌を除く微生物の生菌は検出されなかった。これに対して普通味噌では耐塩性酵母群の他に枯草菌や乳酸菌などと推定される細菌も検出された。耐塩性酵母については、Zygosaccharomyces rouxiiが圧倒的に多く、更に後熟型酵母であるCandida属酵母群もかなり存在した。無菌味噌の香気は甘く、まろやかな感じを与え、他に、原料大豆臭が残っていたが、普通味噌ではいわゆる味噌らしい発酵香が認められた。これら味噌中の揮発性含窒素及び含硫化合物について分析した結果はつぎのごとくであった。1.無菌味噌及び普通味噌で認められた含窒素化合物(mug/100g)は2-methylpyrazine(無菌味噌:0.22、普通味噌:0.18)、benzothiazole(両味噌共:0.11)及びacetylpyrrole(無菌味噌:0.53、普通味噌:0.32)であった。2.揮発性含硫化合物(mug/100g)については、dimethyldisulfide(無菌味噌:0.47、普通味噌:0.43)、methional(無菌味噌:1.40、普通味噌:1.27)、methionol(普通味噌:0.48)などが同定された。これら味噌中での存在が認識された含窒素及び含硫化合物のうち、benzothiazoleとmethionolを除く化合物は、無菌味噌に比べ普通味噌に少ない傾向にあり、また、methionolが普通味噌にのみ認められたことは、benzothiazoleを除く上記の化合物に対する味噌酵母群の関与が示唆された。
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