1992 Fiscal Year Annual Research Report
情報概念と生命概念の相互関係についての歴史的・理論的研究
Project/Area Number |
03680095
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
横山 輝雄 南山大学, 文学部, 助教授 (80148303)
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Keywords | 物理主義 / 自然主義 / 科学的説明 / 進化論的認識論 / 道具主義 / 実在論 / デュエム / デュエム・クワイン・テーゼ |
Research Abstract |
平成3年度に行なった、この問題についての一次文献、二次文献及びこの問題に関心をもっている研究者の論文等を収集し、今日の水準を把握し、問題点を整理する作業をうけて、本年度は、特に19世紀後半以降の研究を重点的に行なった。昨年度得られた知見によって、今日の問題からみて重要でありながら、これまで注目されていなかった文献等を明らかにすることを試みた。 今年度の研究によって明らかになったことは、理論的な側面から言えば、物理主義、あるいは一般的に自然主義の立場を特に認識論的な場面に適用する場合の問題点であり、そのことは今日の進化論的認識論をどうとらえるかにしても関連している。その問題は科学的説明における実在論と道具主義の対立とも結びついている。後者が科学の成功を進化論的な適応としてとらえるのは示唆的であり、この点について次年度以降さらに研究を進める必要のあることが明らかになった。 そのことは歴史的な側面とも関連している。19世紀後半にダーウィンの進化論が出た後でそれに対していろいろな反応があった。特に注目すべきものはフランスの科学哲学者、科学史家デュエムである。彼は一般に科学理論の道具主義の提唱者として、デュエム-クワイン・テーゼの先駆者として知られている。しかし、彼は同時に実在論者でもあり、この点について従来あまり深められてこなかったので、次年度以降さらにこれらがどう彼の内部において統一されていたのかといった点について研究していくことが必要なことが明らかになった。
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