1991 Fiscal Year Annual Research Report
光学顕微鏡の発展と「科学的企業」,諸科学の新しい連関に関する科学史的実証研究
Project/Area Number |
03680097
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮下 晋吉 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30121619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永平 幸雄 大阪経済法科大学, 教養部, 教授 (20122195)
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Keywords | 光学顕微鏡 / E.Abbe / O.Schott / 限外顕微鏡 / R.Zigmondy / 光学ガラス / コロイド化学 / 諸化学の連関 |
Research Abstract |
1.本年度,E.Abbeをはじめ1870ー1900年代の顕微鏡学ーMikroskopie,光学ガラスの発達とZeiss社・SchottーundーGen,の研究・開発に関する資料収集は順調に進み基本的な部分は.ほぼ完了した。 2.それらについて,鋭意整理・解析と翻訳を行っている。 3.とくにZeiss社の「科学顧問」としてなされたAbbeの,顕微鏡の物理光学的理論ー「回析理論」や「独立補正の原理」(ポリオ-プ・オブジェクティブ)や「均等液浸の原理」等顕微鏡の技術学的理論の確立とZeiss社の顕微鏡の研究・開発,さらにはSchottーundーGen.の光学ガラス研究・開発の過程との関係について,いくつかの重要な新知見が得られた。 なお,それらの成果の一部はすでにとりまとめ,下記のとおり発表の予定である(印刷中)。 4.R.Ziogmondyによる限外顕微鏡の発明については,Ziogmondyの全論文,当時のコロイド化学教科書等を含む関係資料の収集が進み,現在その解析を行っている。 5.その結果,限外顕微鏡の発明は,とくにフィルタ-・ガラスの改良という技術的問題と「コロイドの本質は何か?」という科学上の問題が重なり合った研究・開発)の流れの中でなされ,そして医学,生物学,物理学の新しい強力な科学器具として使用されていった歴史的プロセスを,具体的に明らかにしつつある。 6.以上の経過と成果は,本研究課題ー「光学顕微鏡の発展と『科学的企業』,諸科学の新しい連関」がもつ現代科学技術史上の意味を,あらためて確証するものといえよう。
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