1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03680106
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高津 勝 一橋大学, 法学部, 教授 (30034838)
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Keywords | スポーツ政策 / スポーツ組織・クラブ / 対ドイツ管理理事会(ACC) / 対ドイツ合衆国軍政府(OMGUS) / ACC指令第23号 / JCS1067 / 「ハード」と「ソフト」 |
Research Abstract |
本年度の研究課題は、対ドイツ管理理事会(ACC)のスポーツ政策と、アメリカ合衆国占領区におけるその展開を明らかにしつつ、あわせて、それとGHQ/SCAPの対日スポーツ政策とを比較・検討することであった。 第1に、対ドイツ管理理事会(ACC)のスポーツ政策については、次のことを指摘しうる。すなわち、ソ連軍政府のイニシアティブのもと、英米代表の修正意見を取入れて成立した1945年12月17日のACC指令第23号が、連合国の対ドイツスポーツ政策のその後の展開を基礎づけることになった。 第2に、合衆国軍政府(OMGUS)が管轄した合衆国占領区でのスポーツ政策の具体的展開については、次のことを指摘しうる。すなわち、OMGUSは上述の指令を踏まえ、スポーツクラブ・組織の非集権化を重視しつつ、認可制度を介して州レベルまでの組織化を認めた。しかし、そのような制限策はスポーツ組織・人口の急速な回復と全国的競技網の再建をめざすドイツ側の動向・要求と矛盾する性格を持っていた。 第2に、対日スポーツ政策との比較については、次のことを指摘しうる。 第2次世界大戦後の連合国によるドイツ占領は、戦勝4ヵ国の分割統治、軍政による直接統治であった。そのような占領・統治形態に加えて、戦勝国間の利害の対立と冷戦の開始が、対ドイツ占領スポーツ政策の展開をより複雑なものにした。その点では、間接統治の方式を採用し、実質的に合衆国の単独占領であった日本の場合とは大きく異なっている。さらに、同じ合衆国の政策ではあっても、ドイツについてはJCS1067に象徴される「ハード」な性格がスポーツ政策にも現われたのに対し、日本については、武道を除き、最初からより「ソフト」な、すなわち奨励的政策が濃厚であったといえる。
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