1991 Fiscal Year Annual Research Report
1,5ーアンヒドローDーグルシト-ルを含む新奇脂質複合体の生化学的研究
Project/Area Number |
03680138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤沼 宏史 東京大学, 教養学部, 助教授 (30012462)
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Keywords | 1,5ーanhydroglucitol / 1,5ーアンヒドログルシト-ル / GC / MS / 複合脂質 / HPLC / シリカゲル・カラム / 順相液体クロマトグラフィ- / 逆相液体クロマトグラフィ- |
Research Abstract |
ラット肝臓100gより,BlighーDyerの方法を一部改良した方法にて脂質を抽出した.この脂質をIATORBEADSを充填したカラムによりいくつかの成分に分画した.そのうち1,5ーアンヒドログルシト-ル(AG)を多く含み,かつ夾雑物の比較的少ない画分について,Silicaー60を用いた順相HPLGによってさらに分画精製し、最も多くAGを含む画分について,chemical characterizationを行った.各段階でのAGの分析は,サンプルをFolch washによって分配し,その上層,下層を塩酸加水分解によりAGを遊離させた後に遊離AGを精製し,アセチル化の後にGC/MSを用いてそのAGを測定した.その結果以下の成果を得た. 抽出された脂質のFolch下層に18.2ng/g tissue,上層に1.9ng/g tissue相当のAGが検出された.この下層の脂質をIATROBEADSにて分画すると,広範囲にわたってAGが分布したが,そのうちfraction6とfraction12のAG含量が高く,7.5ng/g tissue,9.4ng/g tissue相当で,それぞれの乾燥重量は9.7mg/g tissue,0.4mg/g tissueであった.より純度の高いfraction12付近を集め,Silicaー60にかけた。fraction12ー6と12ー7にAGが多く含まれたので,2つのfractionを集めてchemical characterizationを行った.対照であるphosphatidylーinositol(PI)と比較して,acetolysis,mild alkaline methanolysis処理に対する安定性が顕著に低く,AGは容易に遊離された。この結果よりAGはカルボン酸エステルを介して疎水性グル-プに結合しているものと思われる.粗脂質のFolch分配において上層にも1.9ng/g tissue相当のAGが存在するが,下層にその約10倍の18.2ng/g tissue相当のAGが存在しており,明確にAGー脂質複合体の存在が示された.この画分は主要成分のうち極性の最も高いと思われる部分を集めているので,肝臓中に多く含まれる成分の中にリン脂質がある可能性は低い.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 水野 秀昭,赤沼 宏史: "A novel lipid containing 1,5ーanhydroーDーglucitol" Journal of Biochemistry.
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[Publications] 鈴木 美穂,赤沼 宏史: "Metabolism of 1,5ーanhydroーDーglucitol in rat hepatoma cells,Reuber Hー35." Journal of Biochemistry.
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[Publications] 鈴木 美穂,水野 香昭,赤沼 宏史: "Synthesis of 1,5ーanhydroglucitol in rat hepatoma cells,Reuber Hー35." Journal of Biochemistry.