1992 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子受容体の構造と機能及びそのisoformの生理的意義の解明
Project/Area Number |
03680146
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 信行 京都大学, 薬学部, 助教授 (10110610)
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Keywords | FGF受容体 / 遺伝子ファミリー / 遺伝子発現 / 増殖因子 |
Research Abstract |
F6Fは、中胚葉、神経外胚葉由来の細胞に対する増殖促進作用、分化誘導作用の他に、神経細胞に対する栄養因子的な作用など、多様な生理作用を持つことが知られている。また、FGF受容体は著しい多様性を示し、ヒトにおいて少なくとも4種類の異なる遺伝子より生成することが明らかにされている。我々は最近、実験系としてより有用なラットを材料とし、ラット脳、胎児より4種類のFGF受容体(FGFR-1、FGFR-2、FGFR-3、FGFR-4)遺伝子を単離した。 さらに、FGF受容体の生理的意義を明らかにするために、これらのFGF受容体遺伝子ファミリーの種々の臓器での発現を調ベた。ラット脳、心臓、肺、肝臓、小腸、腎臓から抽出した一定量のnRNAからcDNAを調製し、それぞれ4種のFGF受容体に特異的なプライマーを用いて膜貫通領域付近の配列をPCRで増幅し、電気泳動によりバンドを検出した。その結果、FGFR-1は肝臓以外のすベての臓器で、FGFR-2は心臓以外のすベての臓器で広く高発現しているが、FGFR-3は脳、肺のみで、また、FGFR-4は肺、肝臓、腎臓でのみ高発現していることが明らかになった。このことから、4種類のFGF受容体の遺伝子は、臓器特異的な発想をしており、4種のFGF受容体は生体内でそれぞれ異なる生理作用を担っていることが予想される。 さらに、FGF受容体の脳内発現をin situ hybridization法により調ベたところ、FGFR-1、FGFR-2、FGFR-3は脳内に広く発現していたが、FGFR-4は全くその発現はみられなかった。
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[Publications] Y.Yasuda: "Induction of avascular yolk sac due to reduction of basic fibroblast growth factor by retinoic acid in mice" Developmental Biology. 150. 397-413 (1992)
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[Publications] 伊藤 信行: "生理活性ペプチド及びその受容体の生合成とその調節機構に関する分子生物学的研究" 薬学雑誌. 112. 419-431 (1992)
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[Publications] N.Yazaki: "The structure and expression ot the FGF receptor-1 mRNA isotorms in rat tissues" Biochim.Biophys.Acta. (1993)