1991 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム結合EFハンド構造を有する糖タンパク質のcDNAクロ-ニングと分子特性
Project/Area Number |
03680152
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小澤 政之 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90136854)
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Keywords | カルシウム結合タンパク質 / EFハンド / cDNAクロ-ニング / 小胞体タンパク質 / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
カルモジュリンやトロポニンCを代表とするEFハンド構造を有するカルシウム結合タンパク質は、細胞内にあって細胞の情報伝達や細胞の機能の調節において中心的役割を演じている。本研究は、代表者によりテラトカルシノ-マ細胞より発見された6個のEFハンド様構造を有するタンパク質の構造上の全体像を明らかにし、さらにその機能を明らかにすることを目的としている。本年度の研究により以下の点が明らかとなった。1)本タンパク質の全コ-ディング領域をカバ-するcDNAが得られた。2)cDNAの塩基配列の決定により全アミノ酸配列が明らかとなった。3)本タンパク質は、325残基のアミノ酸より成り、アミノ末端にはシグナル配列が存在する。次に1ヶ所のN型糖鎖結合部位が存在する。6ヶ所存在するEFハンド様構造のうち,第2,第3,第6番目のものは、EFハンドのル-プ形成に不可欠なグリシン残基が別のアミノ酸へと置換しており,カルシウム結合能を消失しているものと推察された。したがって,本タンパク質は、1分子あたり3個のカルシウムイオンを結合すると思われる。カルホキシル末端には、小胞体局在化シグナルKDEL配列類似のアミノ酸配列HDELが存在していた。4)本タンパク質の細胞内分布を蛍光抗体法により調べたところ,小胞体に局在していることが判明した。5)本タンパク質は培地中に放出されることはないが,カルボキシル末端のHDEL配列を欠いたタンパク質を発現させると培地中に放出された。したがって、この配列が本タンパク質の小胞体局在化の機構において重要であることは明らかである。6)カルシウムブロット法により,本タンパク質が確かにカルシウム結合タンパク質であることを証明した。
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