1991 Fiscal Year Annual Research Report
新しいストレスタンパク質hsp40の構造と機能に関する研究
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03680186
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
大塚 健三 愛知県がんセンター, 放射線部, 主任研究員 (40150213)
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / hsp40 / DnaJホモロ-グ / 二次元電気泳動法 / 細胞内局在 / Hela細胞 |
Research Abstract |
我々の見出した哺乳動物細胞での新しい熱ショック蛋白質hsp40の部分的アミノ酸配列および抗体作製のために、二次元電気泳動法によるHela細胞のhsp40の大量精製を試みた。この方法は一次元目(NEPHGE)をディスクゲルのかわりにスラブゲルで泳動し、その後二次元目のSDS/PAGEを行なうもので、SlabーNEPHGE/SDSーPAGE法と名付けた。この方法では一回の泳動で10〜15μgのhsp40が精製できた。このhsp40のN末のアミノ酸配列を決定したところ、バクテリアの熱ショックタンパク質の一つであるDnaJと相同性があった(48残基のうち24残基が同一のアミノ酸、50% identity,69% similerity)。hsp40はまた酵母のDnaJホモロ-グであるSCJ1、SEC63、YDJ1、SIS1などとも相同性があった.このことからhsp40はDnaJのマンマリアンホモロ-グであると考えられる。 また精製したhsp40を用いて抗hsp40抗体を作製し、蛍光抗体法によりhsp40の細胞内局在を検討した。興味あることに、hsp40はhsp70とほぼ同様の局在を示した。つまり熱ショックによりhsp40は核・核小体に移行し、細胞を37℃におくと再び細胞質に戻ってきた。hsp40とhsp70の細胞内移行の動態はほとんど同じであった。また熱ショック後の細胞を二重蛍光染色(抗hsp40抗体と抗hsp70抗体)してみると両者の局在は一致していた。これらのことからhsp40とhsp70は挙動を共にしていることが示唆された.しかし免疫沈降の実験ではhsp40とhsp70が会合しているという結果は得られなかった。 バクテリアではDnaK(hsp70ホモロ-グ)とDnaJ(hsp40ホモロ-グ)が共同してタンパク質のfoldingやassembly・disassemblyに関与していることが示唆されている。このことから類推して、哺乳動物細胞ではhsp40とhsp70が共同で熱ショックで変性した核・核小体内のタンパク質の修復(refolding)などに関与していることが示唆された。
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[Publications] 林 康司: "Translocation of hsp70 and protein synthesis during continuous heating at mild temperatures in HeLa cells" Radiat.Res.125. 80-81 (1991)
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[Publications] 畑山 巧: "Characteristic synthesis and redistribution of 70ーKD heat shock protein in thermotolerant Chinese hamster V79 cells" Int.J.Hyperthermia. 8. 121-130 (1992)
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[Publications] 榊原 陽子: "Development of thermotolerance in hsp70 inductionーdefective mutant of NRK cells" Int.J.Hyperthermia. (1992)
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[Publications] 服部 浩明: "Intracellular localization and partial amino acid sequence of a stressーinducible 40ーKDa protein in HeLa cells" Cell Struct.Funct.(1992)
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[Publications] 難波 吉雄: "抗HSP70抗体による種々の神経変性疾患における封入体の免疫組織学的検討" 脳神経. 43. 57-60 (1991)