1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03680191
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 敏郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (10023037)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 進 名古屋大学, 工学部, 助手 (20023856)
|
Keywords | 消滅処理 / 核分裂生成核種 / 中性子捕獲断面積 / 放射化法 / セシウム-137 / ストロンチウム-90 / ガンマ線測定 / 化学分離 |
Research Abstract |
原子炉で生成される放射性核分裂生成核種(^<137>Cs,^<90>Srなど)の消滅処理のための基礎データとしてそれらの核種の中性子捕獲断面積の測定を行った。 この種の測定は通常は放射化法で行うが,今の場合は照射試料そのものが放射性であるために照射用ターゲットの取り扱いが難しくなり,現在まで信頼できるデータが少ない。 本研究では照射試料と照射後試料の放射能を高感度ゲルマニウム検出器で同時に測定し,その比を取って断面積を求めた。 この方法では照射試料の量の絶対値を正確に求める必要はなく,いろいろの面で有利になる。 実験は日本原子力研究所の原子炉(JRR-4)を利用して行った。 平成3年度は^<137>Cs(n,γ)^<138>Cs反応の断面積の測定を行った。 従来の測定(Stupegiaの測定)では^<137>Csと^<138>Csの量を別々に測定しているので多くの補正誤差が入り信頼性に欠ける。 本研究では照射試料の量と生成核種の量を同時に測定して比を取る方法を採用しているので各種の補正(計数の数え落とし,化学分離の効率など)が自動的に相殺され誤差の原因が減少した。 化学分離の効率を考慮する必要がないので照射後に化学分離を行って放射性不純物を除去し,放射線測定のバックグラウンドを減少させることが出来た。 得られた断面積は0.250±0.013barnであり,Stupegiaの値の約2.3倍となった。 平成4年度は同様にして^<90>Sr(n,γ)^<91>Sr反応の断面積を測定した。 ^<90>Srはガンマ線を出さないので,指標核種として^<85>Srを使用し,^<90>Srと^<85>Srの量の比はベータ線測定で求めた。 得られた結果は15.3±1.3mbである。 また,^<137>Cs(n,γ)反応の共鳴積分の値も求めた。 結果は0.36±0.07barnである。 以上に述べたように本研究によって^<137>Csと^<90>Srの消滅処理のための核データとして新しい信頼出来る値を得ることが出来た。 これらの結果は日本原子力学会欧文誌に投稿中である。
|