1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03680199
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
鈴木 健訓 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助教授 (40162961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尻 正晴 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助手 (20189385)
沖 雄一 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助手 (40204094)
三浦 太一 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助手 (80209717)
近藤 健次郎 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 教授 (20004434)
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Keywords | 陽電子消滅 / 高分子材料 / ポリエチレン / 放射線損傷 / ポジトロニウム / 結晶化度 / 超延伸ポリエチレン |
Research Abstract |
本研究では、工業的に広く使われている高分子材料の特性を、陽電子消滅の手法を用いて解析することを目的としている。今年度は、高分子材料を改質するために、特に、放射線照射を行い、その影響を調べた。また、結晶化度や密度の依存性についても調べた。 高分子材料として次の5種類のポリエチレン(PE)ーー高密度(HDPE)、低密度(LLDPE)、分岐した低密度(BLDPE)、超高分子量(UHMWPE)、完全に延伸したPE(TEKMIRON)ーーを用いた。これらは多くの産業分野で広範囲に使用されている一般的PEであり、使用目的に応じて異なった結晶化度や分子量をもつように製造されたものである。特にTEKMIRONはその引っ張り強さにおいて鉄よりも強いといわれる高分子であり、100%に近い結晶性を備えている。これらの材料を用いた実験内容を次にまとめる。結晶性の高い高分子には、放射線照射によりラジカルが生成し、この照射依存性をESRによって測定した。強度の変化は引っ張り試験を行い破断強度と破断までの伸びを求めることによって調べた。これらの結果と陽電子消滅の結果とを比較検討し、International Conference on Evolution in Beam Applicationの国際会議で報告した。 実験結果の一部を照会するが詳細については参考文献に譲る。陽電子はポジトロニウム(PS)となり高分子中の空孔に長く滞在する。この寿命から得られる空孔の大きさはTEKMIRONでは120Å^3程度であり、結晶化度の小さいLLOPE中では170Å^3と大きくなっている。また、空孔の量は結晶化度の高いTEKMIRON中では約10%であり、低密度及び低結晶化度のLLDPE、BLDPE中では25%と多くなっている。100kGyの照射では架橋が進むことがよく知られている。この照射量ではPSの寿命と強度との変化から、空孔は小さくなり、量は増加することが分かった。
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Research Products
(1 results)