1991 Fiscal Year Annual Research Report
日本統治下の朝鮮半島における禿げ山の分布と植生回復過程に関する研究
Project/Area Number |
03680206
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
藤田 佳久 愛知大学, 文学部, 教授 (70068823)
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Keywords | 朝鮮半島 / 禿げ山 / 日本統治下の朝鮮 / 焼き畑 / 李朝 / 植生回復過程 |
Research Abstract |
朝鮮半島における禿げ山の卓越については、朝鮮側の研究者は日本による植民地政策の所産だとする見解があり、それに対する日本側の見解は、当時の朝鮮における林政担当者によって若干の意見が示されているのみである。 本研究は、そのような見解にこだわらず、禿げ山の分布を正確に、かつ客観的に把握すること、次いでそこから得られた成果から禿げ山分布にみられる地域的特徴とそこからうかがわれる地域的要因の分析を行なうこと、その上で日本統治下での林政のあり方と植生回復の方向を検討しようとするところにある。 本年度は禿げ山の正確な布分を確認する作業を試みた。しかし、禿げ山をどのように定義づけるかについては、なお残された問題も多い。李朝末期に日本人の手で記された記録類をみても、禿げ山の認定比率にかなり差が認められる場合もあるからである。ただし、李朝末期に禿げ山がとりわけ南部に卓越していた点は共通する。その背景には土壌を主とする土地条件と松木をエネルギ-源とする生活様式とのかかわりがみられる。また、北部では豊かな森林資源が存在した鴨緑江流域の南接部分で、粗放化した焼畑耕作が広がり、非定着の農民による独自の林野利用形式にともなう禿げ山への〓移地帯が浮かび上った。このような状況をさらに全域的レベルから確認するために、日本統治下で刊行された地形図から禿げ山を復元する方法を、当時の記録や写真類、統計類からのアプロ-チによって模索しつつあり、それにより図としてのデ-タベ-スの作成をめざしつつある。なお、日本統治下での植生回復過程については、日本側の林政の内容の詳細な検討が必要で、本年については、それらの資料収集につとめ、次年度への橋渡しを図るべくつとめた。
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