1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03680213
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 隆介 中央大学, 理工学部, 教授 (60055168)
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Keywords | 風化速度 / 弾性波探査 / 第三系 / 秩父盆地 / 河岸段丘 |
Research Abstract |
岩盤の風化速度をここでは「風化フロントが地表面に対して垂直方向に進行する速度」と定義し、岩盤の風化開始年代が明らかで、その後現在まで風化過程の中断・停止がなく、しかも風化物質の除去がない、という条件を満たすと仮定し得る地点として、秩父盆地の河成侵食段丘面を選び、段丘面形成年代(=風化開始年代と仮定)の異なる11地点で弾性波探査(24成分、受振点間隔2.5m、測線長:57.5m、遠隔起振点距離:30〜50m、P波起振:カケヤ法、S波起振:板タタキ法)を行い、その走時曲線を「はぎとり法」で解析して、段丘礫層の下位における基盤岩石(第三系)の風化帯の厚さを調査した。 探査結果と露頭観察によると、縦波速度で認定される風化帯よりも横波速度によるそれが一般に厚く、前者の風化帯は視察で区分(強・中・弱風化帯に3区分)される強または中風化帯に、後者は中または弱風化帯にそれぞれ対応しているようである。風化開始年代が等しい場合には、砂質岩層、砂質シルト岩層、シルト岩層の順に風化帯が厚く、この順序で風化速度が大きいことを示す。この風化速度は原岩の未風化部の強度と反比例の関係にある。段丘崖の頂部付近ではそこから離れた段丘面下より風化帯が厚い。 今年度は、段丘面形成年代(=風化開始年代)が6千年から7万年の基盤岩石についての風化帯の厚さを測定したが、この種の測定値がさらに若い段丘面についても増加すれば、任意地点での段丘面下における基盤岩石の風化速度に関する経験式が構築されよう。
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