1991 Fiscal Year Annual Research Report
外国語使用時における行動変化の認知可能性に関する研究
Project/Area Number |
03801008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 陽太郎 東京大学, 文学部, 助教授 (20197122)
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Keywords | 外国語 / バイリンガル / 知能 / 注意 / 対人認知 |
Research Abstract |
母国語ほどには熱達していない外国語を使用している際には,一時的に知的能力が低下することが、申請者がおこなった一連の実験的研究によって既に明らかになっている。本研究の目的は、この知的能力の低下が、通常の言語活動の中で感知しうるものであるかどうか、また、外国語使用者の知的能力に関する直観的評価に影響を与える得るものであるかどうかを調べることであった。 研究はまだ終了していないので、現時点までの進捗状況を報告する。 今年度は、まず具体的な実験計画の策定をおこない、それに基づいて、ビデオ・カメラ等の必要な機材を購入した。次に、それらの機材を使用して、一連の予備実験を実施し、その結果に基づいて実験計画の細部に必要な修正を加えた。この実験計画では、同一人物が母国語で討論をおこなっている場面と外国語で討論をおこなっている場面とをビデオに収録し、それに基づいて、別の被験者がこの人物の知的能力の評定をおこなう。討論は、日本人大学生と英語圏からの外国人留学生が対になって、日本語および英語でおこなう。早稲田大学語学教育研究所に依頼して被験者を募集し、現在、5組の被験者について討論場面の収録が終わった段階である。 更に5組の被験者の討論を計画しているが、もう応募者が残っていないので、実験は中断している。新学年が始まってから新たに被験者を募集し、実験を再開する予定である。計10組の被験者について討論場面の収録が終わると、討論の内容を原稿に起こし、実験目的を知らない協力者に依頼して、その要約を作成することになる。ひとつの条件ではこの要約を、もうひとつの条件ではもとのビデオ・テ-プを別の被験者群に提示し、討論参加者の知的能力等の評定を求め、その結果を分析することによって、初めに述べた仮説の検討をおこなう。
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