1991 Fiscal Year Annual Research Report
子どものコミュニケ-ション行動を促す大人の援助〜子どもと大人のコミュニケ-ションをスム-ズにする要因の検討
Project/Area Number |
03801009
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (70017630)
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Keywords | コミュニケ-ション / 大人の援助 / 相互交渉 / 物語産出 / うなずき / 表情 / 容認的うなずき / タイミング |
Research Abstract |
幼児期の子どものコミュニケ-ション行動、特にことばで意志伝達をしようとするときに、どういう大人が関わるかによって、子どものコミュニケ-ション行動がスム-ズにいく場合とそうでない場合とがある。コミュニケ-ションをスム-ズにする要因を明らかにするために、4歳児、5歳児の幼児を対象にして、身近な題材の説明の事態と矛盾の含まれた難しい物語を産出する事態で、幼児の実験に熟達した実験者と幼児の実験が初めての実験者が相手をする場合を比較し、子どもと大人との相互交渉がどのように変わるかをビデオ分析を行うことにより詳細に検討した。その結果、第1に、子どもにとって難しい題材の物語であるほど、相手をする大人の言語・非言語行動が子どもの反応に影響を与えることがわかった。第2に、年齢が小さいほど、熟達した実験者によって多くの言語反応が引き出されることがわかった。第3に、産出された物語の内容分析を行うと、幼児の実験に慣れた実験者ほど子どもの言語反応が豊かになり、まとまりのよいディスコ-スが産出されることが確認された。第4に、子どもの側の説明技能やディスコ-スの成立を支える認知機能の発達の度合が異なることもこのような幼児期中期と後期で子どものコミュニケ-ションの違いをもたらすことが示唆された。すなわち、後期になるほど、大人の意図を理解して行動を制御できるようになるために、コミュニケ-ションがうまくいくようになるものと推測される。以上のように子どもの反応は相手をする大人の働きかけによって異なるが、熟達した実験者と素人の実験者の働きかけにおいて顕著な差が認められたのは、単に支持的言語反応や誘導的質問などの言語反応が適切であるだけでなく、〈うなずき〉や子どもがリラックスできるような〈表情〉、教示を与える〈タイミング〉や子どもの反応に対する〈容認的うなずき〉などの非言語的応答においてであることが見いだされた。
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Research Products
(1 results)