1991 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの描画における表現及び解析技法のコンピュ-タ化に関する基礎開発的研究
Project/Area Number |
03801011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
子安 増生 京都大学, 教育学部, 助教授 (70115658)
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Keywords | 子どもの描画 / 描画表現技法 / 描画解析技法 / マウスの操作方法 / イメ-ジ・スキャナ- / エリアカ-ブメ-タ- |
Research Abstract |
本研究は,子どもの描画について心理学的に研究する際の新しい方法論の提起を目的とし,一般研究(C)の萌芽的研究として申請したものである。ここでいう描画研究の新しい方法論とは,子どもの描画表現過程,および,子どもの描画の心理学的解析過程にコンピュ-タ・システム等を導入することである。その目的は,1つには子どもの描画表現の外見的未熟さが認識能力の問題なのか表現能力の問題なのかを明らかにすることであり,もう1つは効率性の高い描画解析法を開発することにあった。本研究の成果は,以下の2点に集約される。 1.描画の表現過程のコンピュ-タ化 コンピュ-タによる描画の方法として,第一に,いわゆる「お絵かきソフト」を用い,入力機器としてのマウス(またはトラック・ボ-ル)を用いることが考えられるが,実際に子どもにやらせてみるとマウスの操作方法だけでなく,ソフトウェアの描画手続きが子ども用としては適当でないことが明らかになった。むしろ,描画専用機である「グラフィック・コンピュ-タ」(ソニ-)が操作性の点で格段に優れていた。なお,本研究では予算と時間の制約のために果たせなかったが,描画過程のリアル・タイム記録の問題が今後の重要な課題である。 2.描画の解析過程のコンピュ-タ化 子どもの描画をカラ-・イメ-ジ・スキャナ-でコンピュ-タに取り込み,直線の長さ,曲線の曲率,面積などを分析する技法について検討した。現行のイメ-ジ・スキャナ-の問題点は,CRT画面表示の段階とプリンタ-印刷の段階で情報量に少なからぬロスが生じる点にあり,今後の性能の向上がまたれる。むしろ実用的にはエリアカ-ブメ-タ-による線長・面積の測定法が現段階では有効性が高いことが明らかになった。
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