1992 Fiscal Year Annual Research Report
公的年金の支給開始年齢引上げに諸問題の経済理論的・計量的研究
Project/Area Number |
03803004
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 富美子 東洋英和女学院大学, 人文学部, 講師 (20017669)
|
Keywords | 世代間の再分配 / 分配ルール / 経済成長 / グロス賃金スライド / ネット賃金スライド / 支給開始年齢 / 社会保険料 / 消費税 |
Research Abstract |
これまでの研究成果を単行本『年金改革の構想』にまとめ、出版した。その概要は次のとおりである。 1. 年金の基本性格は強制力を伴う世代間の所得再分配にあり、現役とOBの間におけるパイの分配ルールを定めるところにある。 2. 年金の将来に不安をいだく者は多いが、今後長期的に日本経済が年率で0.5%ほど実質的に成長していけば、高齢化のコストは吸収可能である。経済成長が負担感を和らげる点を無視すべきではない。 3. 人口構造の高齢化に伴う負担増は拠出者・受給者・国が等分に引き受ける、というルールを確立し、年金給付のスライド方式を税・社会保険料込みのグロス賃金スライドから、それらを除くネット賃金スライドへ切りかえるべきである。 4. 支給開始年齢の引上げに際しては、退職の選択において各人の自由をできるかぎり尊重する一方、賃金収入がなくなっても安心に暮らせるような仕組みを用意すべきである。また高齢者の雇用環境を好転させ、その就労を積極的に支援する必要がある。 5. 社会保険料率をあまり高くするのは経済的に望ましくない。むしろ消費税の税率引げで対処することが求められる。 6. 年金は医療や福祉、雇用等との連携を密にし、社会政策全体としての整合性を高める余地が少なくない。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 高山 憲之: "女子の年金についての覚え書" 日本年金学会誌. (1993)
-
[Publications] 高山 憲之: "年金改革の構想" 日本経済新聞社, 220 (1992)
-
[Publications] 高山 憲之: "ストック・エコノミー" 東洋経済新報社, 232 (1992)