1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03804009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北本 俊二 大阪大学, 理学部, 助手 (70177872)
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Keywords | 透過型回折格子 / 分光学 / X線分光 / 高効率分光 |
Research Abstract |
宇宙X線(0.1-1okeV)を観測するために、エネルギー分解能のよい高効率の分光器による観測が要求されている。これまでも、分光素子として結晶を使ったものや回折格子を使った分光器は使われてきた。結晶を使ったものは一般に分解能は良いが広い波長バンドを分光するには効率が悪い。また、反射型回折格子は、数keV以上のエネルギー領域で使うためにはたいへん斜入射光学系で使用する必要があり、0次光による悪影響がどうしても出てしまうことや、大きなものを作成するのが困難であるという問題がある。そこで数keVあたりのX線を分光するためには透過型の回折格子が有望となる。ところが、透過型回折格子の場合、反射型で使われるブレーズ角の考えが導入できないために、分光された光である1次光への効率が悪いという次点がある。 本研究では、透過型回折格子で効率をあげるために、透過型の回折格子で1回反射させることにより、ブレーズ角に似た考えを導入した。その考えを元に、計算機による数値実験と、新しい考えにもとづいて回折格子を可視光を使って実験的に評価した。とくに本年は、計算機による数値実験によって1次光はほとんど減らすことなく、0次光を一割以下に減らせることを確かめた。また、実験では前年度購入した単色光源とレンズ等光学系を使い、可視光や赤外光で光学素子評価システムを作成した。そして、マイクロチャンネルプレートを回折格子として使用し、期待どうり、1次光をあまり減らすことなく、0次光を約1/4に減少させることができる事を確かめた。ただし、理想的に設計された回折格子を制作することができなかったので、1次光への効率として片側約3%程度しか達成することができなかった。これは、もっと理想的なものに近い透過型回折格子を制作することによって、既存のものより性能が良いものができると期待できる。
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