1991 Fiscal Year Annual Research Report
新しい蛍光時間相関法による有機色素励起一重項内のフェムト秒振動緩和の研究
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03804022
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
伊藤 寛 香川大学, 教育学部, 助教授 (60112249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 雅也 香川大学, 教育学部, 講師 (90224782)
中西 俊介 香川大学, 教育学部, 助教授 (30155767)
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Keywords | 蛍光 / 時間相関法 / 有機色素 / 一重項 / フェムト秒振動緩和 |
Research Abstract |
色々なスペクトル幅のインコヒ-レント光ナノ秒色素レ-ザ光を2つ(k_1,k_2)に分け、一方に時間遅延をかけながら、十分高濃度の色素のメチルアルコ-ル溶液に照射すると、遅延時間τ=0の付近で2k_1ーk_2,2k_2ーk_1の2方向に誘導蛍光が観測される。この信号をCresyl Violet,Rhodamine 640,DODCI,Rhodamine 6Gについて観測した。この中で、特微的な振る舞いをする二つの色素溶液(Cresyl VioletとRhodamine 640)について詳しく実験を行った。その結果この信号は、 1.励起光のスペクトル幅に強く依存し、このスペクトル幅は誘導蛍光の時間分解能を規定する。 2.サンプルの濃度依存性が観測され、蛍光がゲインを持ち誘導放出される程度の濃度が必要である。 3.Cresyl Violetの場合は、遅延時間τ=0の前後で著しいビ-トを示し、通常そのビ-トの周期は約30fsであった。一方Rhodamina640の場合は、τ=0の近辺では信号の強度は必ずしも大きくなく、2k_1ーk_2,と2k_2ーk_1方向に出る2つの信号間に時間的なピ-クのシフトが観測された。この2つの違いは、色素の振動励起状態の振動準位の構造の違いから理解する必要があると思われる。現在この点を,PPP等のプログラムを使い解析する準備をしている。 5.現在この信号に対する解釈としては、振動準位のコヒ-レント運動によるものと考えている。 6.今後は、これまで述べてきた2k_1ーk_2,と2k_2ーk_1方向に出る信号以外のたとえば、k_1-k_2+k_3,やK_1+k_2-k_3等の方向の信号についても検討したい。
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Research Products
(1 results)