1991 Fiscal Year Annual Research Report
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03804029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 研一 名古屋大学, 教養部, 教授 (80110823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊沢 紀之 茨城大学, 教養部, 助教授 (70137256)
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Keywords | 非線形振動 / 引き込み同調 / フラストレ-ション / 振動反応 / 空間対称性の破れ / モ-ド・ロッキング / カイラリティ / 三相モ-ド |
Research Abstract |
本年は、自励発振する化学反応系の、相互引き込み現象に注目し、化学反応の位相を制御することにより、トルク的な運動を得ることに的を絞って研究を進めた。自励発振を示す実験系としては、ベロ-ソフ・ジャボチンスキ-反応をとりあげ、CSTR(連続流通撹拌反応槽)の間の、結合を変化させることにより、同期のモ-ドを調べた。このとき、振動子間の結合の非対称性の効果を、特に詳しく調べた。結合が対称のときは、同位相のモ-ドが、非対称のときには逆位相のモ-ドが安定化することを、実験・理論両面から明らかにした。このことは、結合の対称性を変化させるだけで、同位相と逆位相の安定性を支えることが可能であることを意味しており、極めて重要な意味をもつ。同位相と逆位相のモ-ドを、夫々、スピンの強磁性相を作用・反強磁性相互作用と対応づけて、理論的な考察を行なった。その結果、3つ以上の振動子が相互作用しているシステムでは、フラストレ-ションが重要な役割を果たすことが分った。フラストレ-ションが存在すると、振動子系は、多重安定性を示す。この多重安定性を、振動子間の相互作用の対称性により、変化させることが可能となる。このことにより、空間対称性のカイラルな破れを、設計する道が拓かれた。 具体的には、三角形の形に配置した、3つのCSTRの間では、双安定な三相モ-ドが出現することを、実験でもって明瞭に示すことに成功した。このことは、右廻りと左廻りの、反応位相モ-ドがあることを意味しており、CSTRの間の結合の対称性を変化させることにより、いずれか一方のモ-ドが安定化する。すなわち、化学反応から、空間的なベクトル性のあるトルクを直接取り出せることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Yoshikawa: "Use of a Saline Oscillator as a simple Nonlinear Dynamical System:Rhythms,Bifurcation and Entrainment" Amer.J.Phys.59. 137-141 (1991)
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[Publications] K.Yoshikawa: "Nonlinear Phenomenon in Chemistry" IEICE Trans.E74. 1388-1392 (1991)
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[Publications] Y.Yoshinaga: "Mode Bifurcations in Diffucively Coupled van der Pol Equation" IEICE Trans.E74. 1420-1427 (1991)
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[Publications] M.Yoshimoto: "Asymetric Coupling Stabilize the OutーofーPhace Mode:Experimental Evidence in the BolovionーZhabotinsky Reaction" Chem.Phys.Lett.189. 18-22 (1992)
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[Publications] M.Yoshimoto: "Experiment in Coupled Chemical Oscillation" Forma.
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[Publications] K.Yoshikawa: "New Strategy of Informational Processing:Utilization of Nonlinear Dynamics to Chemical Sensing" Physica A.
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[Publications] 吉川 研一: "非線形科学ー分子集合体のリズムと形" 学会出版センタ-, 177 (1992)