1993 Fiscal Year Annual Research Report
高速有機化合物分子のガスクロマトグラフィー検出器への応用
Project/Area Number |
03804045
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
岸 浩 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (60042529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 敏博 国立環境研究所, 化学環境部, 室長 (60109907)
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Keywords | 超音速法分子加速 / 表面電離 / 質量分析 / ガスクロマトグラフィー / 検出器 |
Research Abstract |
超音速自由噴流法によって加速された有機化合物分子が、加熱された固体表面と衝突し、エネルギー移動を行って正イオンを生成する現象について、平成3〜5年度にわたって研究を行った。初年度及び第2年度には、主として[1]「生成イオンの質量分析とイオン生成機構の研究」、に関する基礎的研究を行った。最終年度ではこの研究を続行しつつ、[2]「ガスクロマトグラフィー用イオン化検出器への応用」、に関する研究を行った。[1]については平成4年度研究実績報告書を参照されたい。[2]「ガスクロマトグラフィー用イオン化検出器への応用」 ガスクロマトグラフィーにキャピラリーカラムを用いて操作する場合の検出器を試作して実験した。固体表面として、酸化レニウム(ReO_2)及び白金(Pt)を用いた。試料として、(1)直鎖状炭化水素(n-ヘキサン)、(2)脂環式炭化水素(シクロヘキサン)、(3)芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、o-キシレン)、(4)アルコール(メタノール、エタノール、i-プロパノール)、(5)ケトン(アセトン)の五種類の有機化合物を用いた。【.encircled1.】検出感度、【.encircled2.】ダイナミックレンジ、【.encircled3.】バックグラウンドの安定性、【.encircled4.】ノイズレベル、【.encircled5.】ピーク幅、について検討し、市販のFID型検出器と比較した。その結果、 (1)検出感度は、ReO_<2->法でFIDの約100倍、Pt-法ではFIDとほぼ同程度であった。 (2)直鎖状炭化水素、アルコール等のイオン化エネルギーの高い有機化合物にも高い検出感度を示した。 (3)分子量の小さいメタノール等の有機化合物に対しても高い検出感度を示した。 (4)ノイズレベルは、FID検出器とほぼ同程度であった。 (5)記録されたピーク幅も、FID検出器とほぼ同程度であった。 一方、 (6)有機化合物間に検出感度の差が認められ、この差はFID法よりも大きい。 (7)バックグラウンドは、長時間(約30分)の間にドリフトが認められ、これもFID法より大きい。 (8)固体表面温度に最適条件が存在し、この最適温度は試料有機化合物間で差がある。 (9)検出感度は有機化合物分子の運動エネルギーとともに増大するが、ノイズレベルも増大する。 (10)ダイナミックレンジは、FID法に比較するとやや狭い。等の事が明かとなった。
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