1992 Fiscal Year Annual Research Report
光合成水分解複合体におけるマンガンクラスターの形成
Project/Area Number |
03804054
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Research Institution | Fukuoka Women s University |
Principal Investigator |
田村 典明 福岡女子大学, 家政学部, 助教授 (70207249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 弘 富山大学, 理学部, 教授 (50109097)
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Keywords | 光合成 / 酸素発生 / 光化学系 / マンガン / 水分解 |
Research Abstract |
これまで得られた知見は、以下のようである 1.光化学系IIコア複合体での水分解系の光活性化 水分解系で触媒として働くマンガン原子が光化学系II反応中心であるD1/D2のカルボキシル基やヒスチジン残基に直接配位していることが示唆されてきているので、酸素発生能をもつより小さい機能単位が考えられる。そこで、マンガンを欠いた光化学系IIコア複合体に再びマンガンを再結合させ、水分解系を再構築することを試みた。酸素発生能を持つ光化学系II標品(0.5mgChl/ml)を1%スクロースモノラウレートで暗所下1時間インキュベートした。その後、遠心して得られた上清をDEAE-トヨパール650Mに吸着させ、50-300mMのNaCl濃度勾配をかけた。この時、150mMNaCl近傍で溶出してきたピークが、LHCPや43kDaタンパク質を欠いた47kDa/D1/D2/チトクロムb559の主な4種のポリペプチドから構成されているコア標品であることが分かった。この標品を、pH5.3、DCIP存在下で光活性化処理を施したところ、20-40μmolesO_2/mgChl・h程度の活性を示す酸素発生能の回復がみられた。 2.常緑針葉樹トウヒ生葉における水分解系の再構築 トウヒでは、暗所でのクロロフィル合成が起こっており、チラコイド膜構造のある程度の発達もみられる。しかし、部分的な電子伝達反応は起こるものの、酸素発生活性は発現されない。そこで、暗所及び明所で発芽させたトウヒを用いて、生体内での水分解系の光活性化機構について調ベた。明所で生育させたヒドロキシルアミン(NH_2OH)処理したトウヒでは、半減期が3時間のゆっくりした酸素発生活性の回復がみられた。一方、暗所で生育したトウヒでは2段階の水分解系の形成がみられ、NH_2OH処理によって速やかな上昇部分が消失し、ゆっくりとした上昇のみがみられるようになった。また、これらのゆっくりとした活性の上昇はクロラムフェニコール感受性を示し、葉緑体由来のタンパク質合成が必要なことが分かった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kamachi,H.,Yoshihira,T.Oku,T.and Tamura,N.: "Photoactivation of the apo-water-oxidizing complex in PhotosystemII membranes isolated from spruce seedlings." Research in Photosynthesis. II. 393-396 (1992)
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[Publications] Tamura,N.,Tanaka,T.,Wakamatsu,K.,Inoue,H.and Wada,K.: "Possible role of carboxyl groups in photoactivation of the apo-water-oxidizing complex." Research in Photosynthesis. II. 405-408 (1992)
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[Publications] Yoshihira,T.,Kobayashi,Y.Oku,T.and Inoue,H.: "Development of light-harvesting chlorophyll A/B ptotein complex phospherylation in thylakoids from dark-grown seedlings." Research in Photosynthesis. II. 579-582 (1992)
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[Publications] Inoue,H.,Yoshihira,T.and Tamura,N.: "Induction of photosynthetic activities during germination in green spores of the feru Osmunda Japonica." Research in Photosynthesis. II. 619-622 (1992)
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[Publications] Takano,A.and Inoue,H.: "Protease of chloroplasts during germination in green spores of the fern Osmunda Japonica." Research in Photosynthesis. II. 205-208 (1992)