1991 Fiscal Year Annual Research Report
気孔の分化パタ-ンの光による制御機構の分子細胞生物学的解析の試み
Project/Area Number |
03804056
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
風間 晴子 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (20052277)
|
Keywords | 気孔 / 孔辺細胞 / 微小管 / 分裂パタ-ン / キウリ胚軸表皮 / 分裂準備期微小管帯 / 副細胞 / 赤色光 |
Research Abstract |
キウリ胚軸表皮系における気孔の分化に関し、今年度は以下の点を明かにした。1)これまでタマネギの表皮で使われている微小管及び核の二重染色法(峰雪等、1988)を改良し、キウリ表皮系においても、気孔の分化に伴う微小管の分布の変化を観察できるようにし、赤色光照射後の気孔分化の過程を調べた。その結果、孔辺母細胞を生じる分裂に際し、分裂準備期微小管帯(preprophase band of microtubules)は細胞の中央に位置し、細胞の体積上等分裂し、しかも,生じた二つの娘細胞の内、上部に位置する細胞が孔辺細胞に分化することが明かとなった。従って、従来知られているような分裂パタ-ン,即ち、不等分裂により孔辺母細胞の形成とは異なっていることが示唆された。2)孔辺細胞に分化した細胞の再分裂に伴う細胞骨格、特に、微小管の動静を前述の微小管及び核の二重染色法によって調べた。その結果、孔辺細胞特有のキドニ-ビ-ンズ形の細胞形態形成に伴い、扇状に配向していた微小管は、再分裂に際し、扇形の配向は消失し、細胞分裂装置の微小管へと再編成されること。さらに、再分裂後、再び二つの要をもった扇形の配向を取る場合と、再分裂後も、あたかも一つの孔辺細胞からなっているような配向を取る場合とが観察された。なお、孔辺細胞の再分裂に伴う微小管の再配列についての研究は、本研究が最初である。3)気孔複合体(stomatal complex)の成形に対する赤色光の影響を調べた結果、気孔複合体の成形、即ち、副細胞の形成には光、特に赤色光が必要であることが明かとなった。また、従来知られているような、孔辺祖母細胞あるいは、孔辺母細胞の分化に伴って、自動的に副細胞の分化が進行するのではなく、副細胞の形成は孔辺細胞の形成に依存しているものの、両者の分化過程は相互に独立している可能性が示唆された。
|
-
[Publications] Haruko Kazama: "Novel Effects of Redーlight on Stomatal Development of Cucumis sativus Hypocotyl Epidermis" Nature.
-
[Publications] Haruko Kazama: "Effects of Redーlight on Frequency and Maturation of Stomata of Cucumis sativus Hypocotyl Epidermis" Plant & Cell Physiology.
-
[Publications] Haruko Kazama,Yoshinobu Mineyuki,Takao Suzuki: "Preprophase Band Orientation and Cell Division Pattern of Redーlight Induced Stomata Differentiation in Cucumis sativus Hypocotyl Epidermis" Planta.
-
[Publications] Haruko Kazama,Yoshinobu Mineyuki,Takao Suzuki: "Rearrangement of Microtubules during Reーdivision of Guard Cell of Cucumis sativus Hypocotyl Epidermis" Planta.