1992 Fiscal Year Annual Research Report
テクトニックメランジュ、オリストローム、泥火山の比較構造地質学的研究
Project/Area Number |
03804064
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
酒井 治孝 九州大学, 教養部, 助教授 (90183045)
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Keywords | メランジュ / オリストストローム / 海底地滑り / 水中大砕流 / 泥火山 / レッサーヒマラヤ |
Research Abstract |
1.テクトニックメランジュについて ネパールヒマラヤにおいて、ヒマラヤ片麻岩類のルートゾーンとその南方延長のナップの地質調査を行なった。踏査地域は西ネパールのジュムラ-ジャジャルコット-サリャーンを結ぶ南北120Kmである。研究目的はナップの前進によって、ナップと下盤との境界部に作られたテクトニックメランジュの形成過程の解明である。メランジュ形成の温度・圧力条件、応力状態の研究の為に約400Kgの岩石試料を採集した。この試料について雲母鉱物の結晶化度、炭質物の輝炭反射率、高成鉱物を使った温度・圧力履歴の解析、小構造の解析を行なう準備を進めている。野外地質調査で新しく判った注目すべき事実は、(1).ヒマラヤのプレート境界断層であるMCTに沿って形成された眼球片麻岩は一種のテクトニックメランジュである。眼球片麻岩の上下には必ずそれを同質の来変形の逆入岩が伴われており、地球の一部が再溶融して迸入した花コウ岩が、浄却されながら変形運動を被むり眼球片麻岩が形成されたものと判断される。(2).ナップに覆われた下盤の始新世、漸新世の唯積物は、ナップの前進により激しく曵きずられ、層面滑りや箱型褶曲を形成している。またナップの被覆により、泥質岩の結晶化度が著しく上昇している。 2.オリストストロームについて 対州層群中の水中火砕流に伴う海底地滑り堆積物の構造地質学的調査を行なった。昨年の調査で判明した構造の一連の変化をより多くの地滑り体で確認することができた。その変化とは基底から上部に向かって、低角度正断層帯→横臥褶曲・スラスト人帯→箱型褶曲・地層分断帯→スランプ魂の混在帯という一連の変化である。このような一連の変化は、テクテニックメランジュとオリストストロームを区別する指標となり得る。
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