1991 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシンのための微生物機能利用微細加工技術の研究
Project/Area Number |
03805008
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
黒崎 靖 三重大学, 工学部, 教授 (60023339)
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Keywords | 海水 / 微生物 / 腐食 / 好気性細菌 / 嫌気性細菌 / 金属表面 / 先端加工技術 / エッチング |
Research Abstract |
微生物の材料プロセス機能を利用した微細加工技術を開発するための第1ステップとして、本年度は海水環境下における微生物の金属表面への腐食挙動について一般的調査を行った。すなわち、無酸素銅板、キルド鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板、60/40黄銅板などを用いて、有菌および滅菌条件で腐食試験を行い、微生物の効果について調べた。この結果、次のような成果を得た。 (1)海水中の金属板もしくは金属粉末に対して、指向的に微生物(好気性細菌)が集合することが確認された。 (2)金属表面腐食層および表面より離脱した腐食生成物中に多数のバクテリアコロニ-および微生物が生息することが確認された。 (3)無酸素銅板の腐食試験より、微生物の作用として、水和反応の促進すること、嫌気性細菌の活動により独特のピットを生ぜしめること、酸素濃淡環境を生ぜしめることにより腐食を促進させること、などが明らかにされた。 (4)キルド鋼板の腐食試験結果より、微生物は結晶粒内を選択的に腐食することが分かった。また、有菌試験と滅菌試験とでは腐食量に著しい差違が現われ、微生物が腐食を助長することが結論された。 (5)他の材料についても、バイオファウリングに起因すると見られる独特の食孔が生ずることが確認された。 (6)嫌気性細菌の腐食作用を活用することにより金属表面にパタ-ンを刻印する加工原理を考案し,その妥当性を立証した。また,海水処理板を基板とする金属結晶析出法も見出した。 以上のような有用な知見が得られ,新しい材料加工プロセス開発に対する指針が得られたので、これらをまとめて日本機械学会東海支部講演会に発表することにした。
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