1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03805033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀山 充隆 東北大学, 工学部, 教授 (70124568)
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Keywords | 集合論理演算 / 超多値論理回路網 / バイオ素子モデル / 酵素センサ / 完全並列処理 / 無配線バイオコンピューティング |
Research Abstract |
近年,VLSIシステムの極限的微細化の進行は著しいが,集積回路の高機能化,高並列化に伴い,多数のモジュール間の通信配線が激増し,その集積化そのものに対して物理限界を与えつつある。本研究では,生体情報処理の根本原理が,配線に制限されない高並列計算機の実現という観点からも極めて有用な概念を含むことに着目し,生化学反応の選択性に基づく超多値・高並列情報処理方式を提案するとともに,構成理論の体系化および基礎実験を行った。 生体触媒である酵素は,ある特定の基質分子のみを極めて選択的に識別する能力を有している。そこで,基質分子の種類で多値論理値を表現すると,溶液中における膨大な種類の基質分子の多重化により,原理的に超多値化が可能である。平成4年度は,前年度に行ったバイオ素子による超多値論理回路網の合成に関する研究結果をさらに発展させ,ディジタルシステムに要求される全ての処理および通信を溶液中における基質分子の並列放出および並列選択のみに帰着させた「無配線バイオコンピューティング」が可能であることを理論的に明らかにした。この結果,従来のVLSIでは配線問題のために非現実的とされていた完全並列処理システムを極めて効率よく実現できる可能性が示された。 また,これと並行して,バイオ素子の実現に向けた基礎実験を行った。特に,バイオ素子の入力部に要求される多酵素複合センサに関しては3種類の酵素を用いた試作実験に成功し,その応答速度,安定性,選択性を評価した。さらに計算機シミュレーションによりバイオ素子を数μmに微細化することにより,数百μs程度の応答速度が得られる見通しを得た。
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Research Products
(2 results)