1991 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経細胞を用いた学習・記憶機能をもつバイオチップ開発の基礎的研究
Project/Area Number |
03805034
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
榊原 学 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (10135379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 彰 豊橋技術科学大学, 技術開発センター, 助教授 (20144199)
池野 英利 舞鶴高等工業専門学校, 講師 (80176114)
臼井 支朗 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40023337)
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Keywords | バイオコンピュ-タ / 培養神経細胞 / 学習,記憶 / 神経回路網 |
Research Abstract |
生物の情報処理様式を利用するバイオコンピュ-タを構成するためには神経系で行なわれている情報処理アルゴリズムを従来型の計算機にインプリメントする方法と、演算装置、記憶装置をより生物的に構成する方法がある。本研究では後者の立場に立って代表者が長年研究を進めてきたウミウシ神経細胞を単離、培養し、人為的に神経回路を構成することによって神経系の情報処理様式を直接利用することをめざしている。ウミウシは光刺激を条件刺激として重力刺激を無条件刺激として古典的条件づけができることから連想学習・記憶のモデル動物として多くの研究がある。学習獲得による行動の変容は感覚受容器、中枢神経系、筋肉という経路で伝えられたが、最初に認められる著明な変化は一種の視細胞であるB型視細胞において観察され、これは感覚受容器相互(視細胞と有毛細胞)の情報干渉によって生じる。本研究では光と重力による連想学習系を培養細胞を用いて再構築することを目的として平成3年度には最適な培養条件を検討した。これまで本研究で用いるウミウシ神経系は単離培養されたことがなかったため、多くの神経培養が行なわれている同じ軟体動物動物のアメフラシ、カタツムリの研究結果を参考にした。培養溶液は神経細胞の成長に必要な種々のアミノ酸を含むリボヴィッツ液(L15)を基本として神経突起の発芽を促進する蛋白質であるコンカナバリンA、神経成長因子ラミニンを含む液溶中において神経細胞の成長が最も著しかった。ただ、この際当初ねらった視細胞、有毛細胞の成長は中枢神経細胞の成長に比べ悪かった。これは従来いわれているように視細胞、有毛細胞等の感覚受容器は中枢神経細胞より分化が進んでいるためと考えられることから、今後弱齢の動物から摘出した細胞を培養する必要があると思われる。
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