1992 Fiscal Year Annual Research Report
廃水処理への遺伝子組換え技術の適用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03805047
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾崎 博明 京都大学, 工学部, 助教授 (40135520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 芳久 京都大学, 工学部, 助手 (20226260)
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Keywords | 有機ハロゲン化合物 / 不飽和脂肪族ハロゲン化合物 / スクリーニング / 酵素精製 / 遺伝子組換え / 廃水処理 |
Research Abstract |
微量環境汚染物質として重要な有機ハロゲン化合物の1つである2-クロロアクリル酸(CAA)を対象として、前年度単離した同化合物資化菌の特性とデハロゲナーゼ遺伝子のクローニングについて検討を加えた。 CAAは必ず2-クロロピロピオン酸(CPA)脱ハロゲン活性を示することから、CAAはCPAに転換後、安定酵素CPAデハロゲナーゼによって分解されることが明らかになった。また、CAA資化菌のうちの1種より染色体DNAを抽出し、Sau3AIによって部分的に切断したのち、PUC19のBamHLn部位に挿入した。生成した組換えプラスミドでE.Coliを形質転換し、ブロモ酢酸を含む培地に成育する菌を選択した。大腸菌は本来ブロモ酢酸を含む培地に成育できないが、上記の操作ではデハロゲナーゼ遺伝子が発現し、E.Coliクローン株1株が得られた。また現在、2-クロロプロピオン酸資化菌であるPseudomonos.sp113株を単離し、デハロゲナーゼ酵素の精製、クローニングについて同様の検討を行っている。 また、難分解性物質の1つとしてのアゾ染料であるReactive Red 22につき、その分解微生物と脱色にかかわる条件について検討を加えた。 アゾ染料やグルコース等からなる人工廃水で長期間培養した汚泥からは11種の菌が単離できた。これらの菌は全てグラム陰性菌であり、ほとんどが樺菌と認められた。これらの菌はそれぞれ脱色能力が異なり、脱色能力が強い菌ほどグルコース資化能力も強い傾向があった。 培養汚泥及び単離菌の脱色では、ORP値が低いほど脱色速度が速く、エネルギー源として易分解性物質が必要であることから、脱色は共役代謝による環元反応によって進むこと、Reactive Red 22の脱色にかかわる菌は他のアゾ染料の脱色にも有効であることがわかった。 今後、更に選択圧をかけてアゾ染料分解に強くかかわる菌の単離を進め、その特性を明らかにする予定である。
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