1991 Fiscal Year Annual Research Report
細菌捕食性原生動物による硫酸排水生成源のバイオコントロ-ル
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03805056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鴻巣 彬 東北大学, 工学部, 助教授 (20089791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新堀 雄一 東北大学, 工学部, 助手 (90180562)
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Keywords | 硫黄酸化細菌 / 原生動物 / 捕食者 / 共生 / 集積培養 / Thiobacillus Thitoxidsns / 回分培養 |
Research Abstract |
鉱山排水を起源とする硫黄基質集積培養槽中に、硫黄酸化細菌と共生する原生動物を確認した。この原生動物は、鞭毛虫類に属するBtalo edaxと同定され、集積培養槽中において硫黄酸化細菌を捕食して生育していると推定される。実際に、土畑鉱山坑体水中において、鉄バクテリアを捕食して増殖している繊毛虫類の原生動物の報告がある。したがって、このB.edaxにより硫黄酸化細菌の増殖を抑え、硫酸生成を抑えるというバイオコントロ-ルの可能性が考えられる。 本研究では、硫黄酸化細菌とB.edaxとの相互関係を検討するために、いくつかの条件において富栄養型の回分式硫黄酸化実験を行い、その際の各々の濃度および硫黄酸化細菌による硫酸生成量の経時変化から、以下の知見を得た。 (1)富栄養での集積培養による硫黄酸化において、槽中の原生動物の濃度と液中の硫黄酸化細菌の菌体濃度の比はほぼ一定で、10^<ー3>から10^<ー4>の値であった。また、培養液のpH値が約0.6以下になると、原生動物の生存濃度は減少した。 (2)培地にCuSO_4水溶液を加えて培養実験を行った結果、硫黄酸化細菌と初期の段階においてCu^<2+>による移少の阻害作用を受けるが、増殖は可能であった。一方、原生動物は、Cu^<2+>濃度1および10mg・dm^<-3>の場合増殖したものの、100mg・dm^<-3>では増殖せず、さらに100mg・dm^<-3>にいたっては約200時間後には全く確認されなくなった。 (3)Cu^<2+>を含む培地により継代培養を行った結果、硫黄酸化細菌はCu^<2+>濃度1000mg・dm^<ー3>に対する耐性を得たが、原生動物は適応できなかった。 (4)浮遊中の硫黄酸化細菌の対数増殖曲線から増殖収率を求めた。原生動物が存在するときのみかけの増殖収率は、原生動物が存在しないときの増殖収率の約1/7であった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 須藤 孝一,新堀 雄一,鴻巣 彬,千田 浩: "硫黄酸化細菌と原生動物との相互関係の一考察ーCu^<2+>を添加した集積培養の場合ー" 資源・素材学会春季大会講演要旨集. (1992)