1991 Fiscal Year Annual Research Report
変態誘起塑性型複合組織鋼板の温間加工および加工熱処理による成形性改善と疲労特性
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03805060
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉本 公一 信州大学, 繊維学部, 助教授 (50094272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 光征 信州大学, 工学部, 教授 (80021020)
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Keywords | 変態誘起塑性 / 複合組織鋼 / 張り出し性 / 残留オ-ステナイト / 残留オ-ステナイトの安定性 / 温間加工 / (α+γ)2相域 / 加工熱処理 |
Research Abstract |
本年度では、プレス形成性の改善および新加工熱処理の効果について検討し、以下の成果を得た。 I.プレス成形性の改善 本年では主に張り出し成形性に対する温間加工の効果を検討した。張り出し性は引張延性と同様に温間加工によって改善されることを見いだした。張り出し性への温間加工の効果はポンチ半径が大きい(等2軸引張に近い)ほど顕著に現れた。最適温間加工温度は室温から225℃の範囲にあり、残留オ-ステナイト(γ)のMs点の低下にともない低下した。また、張り出し成形性には最適な残留γ量が存在することを見いだした。上述の結果と残留γのひずみ誘起変態に対する安定性との関係を現在検討している。 II.新加工熱処理の検討 加工フォ-マスタを用いたシミュレ-ション実験において、(α+γ)2相域での加工熱処理(圧下率30%〜50%)によって、フェライトの核生成を促進させ、残留γ量の増加および結晶の微細化を図ることができることを見いだした。ただし、残留γの安定性はこの加工熱処理によってわずかしか変化しない。これらの結果を基に、0.2%Cー1.5%Siー1.5%Mn真空溶解鋼を用いて、実験室的に2相域加工熱処理熱延材を試作した。試作材の強度・延性バランスは十分に高く、また従来の冷延材よりも優れていることを確認した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 杉本 公一,臼井 登,小林 光征,白沢 秀則,三好 鉄二: "TRIP型複合組織鋼の微細組織に対する(α+γ)2相域加工熱処理の効果" 材料とプロセス(鉄鋼協会). 4. 1947 (1991)
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[Publications] 杉本 公一,臼井 登,小林 光征: "変態誘起塑性(TRIP)型複合組織鋼の延性と残留オ-ステナイトの安定性" 日本機械学会材料力学講演会 講演論文集. No.910ー71Vol.A. 79-81 (1991)
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[Publications] 杉本 公一,臼井 登,小林 光征,橋本 俊一: "TRIP型複合組織鋼板の延性に対する残留オ-ステナイトの体積率と安定性の影響" 鉄と鋼.
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[Publications] 杉本 公一,臼井 登,小林 光征,橋本 俊一: "TRIP型複合組織鋼に存在する残留オ-ステナイトの安定性とひずみ誘起変態挙動" 材料とプロセス(鉄鋼協会). 5. (1992)