1993 Fiscal Year Annual Research Report
鋼繊維強化コンクリートの破壊挙動に及ぼす鋼繊維の強度及び配向の影響
Project/Area Number |
03805062
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
須藤 一 東北学院大学, 工学部, 教授 (10005176)
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Keywords | 繊維強化コンクリート / FRC / SERC / 複合材料 / 弾性率 / 破断強さ / オートクレーブ |
Research Abstract |
コンクリートの宿命ともいえるひびわれに対する抵抗を高める目的で、各種の繊維が配合された繊維強化コンクリート(FRC)の開発が行われている。この際、炭素繊維、ガラス繊維、あるいはカオウール繊維などはいずれも10ミクロン程度のフィラメント状の細繊維であるが、鋼繊維の場合は1ミリ程度の直径の針金状のものが使用されている。このため、「繊維」と総称されても、FRCの挙動は一様でないと考えられるので、今回は主としてこの観点から研究を行った。 今回使用した鋼繊維は公称直径0.6mm,公称長さ30mmのシンコーファイバーと、厨房用たわしとして使用されている直径30mmの鉄ファイバーを使用した。普通ポルトランドセメント:4号硅砂:水を1:1.5:0.38として、これに上記の繊維を長手方向に配列させたり、ランダムに混合し、4×4×16cm^3の型枠にキャストし、1ケ月以上の水中養生を行い、一部の試料は185°Cのオートクレーブ養生を行った。これらの試料を用いて曲げ弾性率を3点曲げにより、また、曲げ破壊試験を4点曲げ方式により行った。 得られた結果を要約すれば次のとおりである。 (1)弾性率(E)について:細繊維配合によりEは上昇するが、太繊維配合の場合、これを整列させたときはEが増加したが、ランダムに混合したときは減少した。また、オートクレーブ処理によっても増加しなかった。 (2)曲げ破壊試験について:細繊維配合による曲げ強度の増加量は僅かであるが、太繊維配合により、著しく強化される。前者の場合、オートクレーブ処理により、強度は上昇した。細繊維配合試料は引張り型破断したが、太繊維配合試料では剪断型破断となった。この違いは、前者では繊維が切れるのに対して、後者では引き抜かれることによる。 以上の結果より、小さいひびわれ防止には細繊維が有利で、大きなひびわれ防止には太繊維配合が有利と判断された。
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