1991 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜をモデル化したモザイク膜システムによる電子輸送とイオン輸送のカップリング
Project/Area Number |
03805065
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井川 学 神奈川大学, 工学部, 助教授 (70120962)
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Keywords | モザイク膜システム / 電子輸送 / イオン輸送 / カップリング / 酸化還元反応 / 光エネルギ- / 電子選択透過性膜 / イオン交換膜 |
Research Abstract |
陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べたモザイク膜システムにおいて、陰イオン交換膜の1枚を電子選択透過性の膜に変えると系内でイオン輸送と電子輸送はカップリングされる。本研究では、このようなシステム内の生体膜類似電子輸送挙動と、その応用としての光エネルギ-を駆動力とするイオン輸送について検討した。 システムとしては、シリコンゴムシ-トに長方形の穴をもうけてこれをセルの各室とし、各シ-トを膜で隔てて重ね、チュ-ブポンプを用いてセルの各室に塩溶液を循環させることにより系内に循環電流を発生させる。電子選択透過性膜には白金板を用い、カリウムイオン濃度の経時変化よりイオン流束を求め、同時に酸化還元電位を測定して、電位差と溶液抵抗から効率を算出した。なお、光エネルギ-による輸送実験の光源には、250Wキセノンランプを用いた。 セルは3家型あるいは4室型のものを用いたが、いずれも酸化還元電位差を駆動力としてイオンが輸送される。その輸送速度は電子選択透過性膜の両側の電位差に依存するが、電位差が同じでもその間に多段階の酸化還元反応が存在すると電子輸送は促進され、系の効率が向上することが明かとなった。この多段階の酸化還元反応を組み込むことの効果は、系内の循環電流が大きいほど大きくなった。また、EDTA、硫酸プロフラビン共存下で感光体のメチルビオロ-ゲンを含む溶液に、光を照射すると光酸化還元反応が生起される。そこでモザイク膜システムの1室にこの溶液を用いて可視光を照射すると、光エネルギ-を駆動力としてイオン輸送が実現されることが確認された。 このように、モザイク膜システムはイオン交換膜の新しい利用法を示すとともに、新しいエネルギ-変換法としても期待される。
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Research Products
(1 results)