1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03805075
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高部 圀彦 静岡大学, 工学部, 助教授 (30022239)
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Keywords | リパ-ゼ / 不斉エステル交換反応 / 立体制御 / Aーファクタ- / αートコフェロ-ル / バリアビリン |
Research Abstract |
1.種々のアルキル置換基を2位に有する1,3ープロパンジオ-ル類のリパ-ゼによる不斉エステル交換反応について詳細な検討を行なった結果、2位のアルキル置換基としてアミドエチル基を有する場合、アミド基の種類により不斉導入における絶対配置が逆転する現象が明らかとなった。すなわち、モノ置換アミドの場合にはS体のモノエステルが、また、二置換アミドの場合にはR体がそれぞれ85ー95%eeの純度で得られた。さらに、得られたR体のモノエステルから放線菌の抗生物質産生制御物質であるAーファクタ-の重要な合成中間体の合成を達成することが出来た。 2、光学活性αートコフェロ-ルは生体内抗酸化作用を有する重要な化合物であり、このキラルなクロマン部と側鎖部の合成を、リパ-ゼによる不斉導入反応を利用して検討した。その結果、クロマン部に関しては66%eeの光学純度であったが、側鎖部に関しては95%ee以上の高い光学純度を有する側鎖部の合成が可能となった。 3、(-)ーブりアビリンは海綿から単離されたフラノセスタテルペンであり、強い抗菌性を有しており、これまで全合成は行なわれていない。そこで、この不斉合成に不可欠な側鎖延長のために2位にフェニルチオエチル基を有する1、3ープロパンジオ-ルのリパ-ゼによる不斉導入を利用して、98%ee以上のCー5ブロックを合成し、これより天然型バリアビリンの全合成が達成出成た。 なお、これらの研究成果の一部は今着度の第22回中化連秋季大会、第30回油化学討論会、第35回TEAC討論会で発表しており、現在、研究論文として投稿するためにとりまとめ中である。
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