1991 Fiscal Year Annual Research Report
酵素酸化・還元中心の蛍光モニタリングによるオプトロ-ドバイオセンサの開発
Project/Area Number |
03805094
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
早出 広司 東京農工大学, 工学部, 講師 (10187883)
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Keywords | キノプロテイン / グルコ-スデヒドロゲナ-ゼ / 蛍光測定 / 海洋細菌 / 耐塩性 / バイオセンサ- |
Research Abstract |
本研究は酵素の酸化還元反応中心の蛍光を直接モニタリングする原理に基づく、酵素反応の直接検出を応用したバイオセンサ-構築を目的としている。本研究では、ピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素に有するキノプロテイングルコ-スデヒドロゲナ-ゼ(PQQGDH)を用いた。これまでに種々のPQQGDHが報告されているがいずれも精製が容易とはいえず、また用いる緩衝液のイオン強度の影響を受け失活しやすいという欠点があった。そこで本研究では、高い塩濃度でも活性が維持でき、また精製が容易なPQQGDHを海洋細菌からスクリ-ニングを行った。その結果、西伊豆沿岸の海水試料から単離された海洋細菌、Pseudomonas sp.N11からPQQを補酵素とするGEHがスクリ-ニングされた。本海洋細菌は増殖に高塩濃度を要求する典型的な海洋細菌であった。このPQQGDHはグルコ-スに対して高い選択性を示した。また等電位が低いことから陰イオン交換クロマトグラフィによって容易に精製できた。さらに、これまでに報告されているPQQGDHは塩濃度1%程度で10%以下に活性が失活してしまうのに対し、本酵素同塩濃度で90%以上の活性を維持し、また3%以上の高塩濃度でも40%以上の活性を保持できるきわめて耐塩性の高い酵素であった。なお海洋からPQQGDHが単離されたのは本研究がはじめてである。この酵素を用いて、反応中心のPQQの蛍光のモニタリングを試みた。PQQは還元されPQQH_2となるが、そのときPQQに特徴的な480nm付近の蛍光が減少する。しかし、PQQが酵素本体と結合している状態での蛍光に関する情報は全く知られていない。遊離状態のPQQは励起波長360nmにより、480nm付近に蛍光を発するが、本研究の結果、PQQが酵素と結合状態にある場合には、同じ励起波長で、460nm付近と単波長側へ蛍光がシフトすることが明らかとなった。そこでホロ型のPQQGDHを用いて、グルコ-スを添加したときの蛍光の変化を測定した。その結果、グルコ-ス添加により、明かにPQQに由来する蛍光が減少することが確認された。このことから蛍光法により、酵素反応の反応中心の直接モニタリングが行えることが示された。しかし、その反応はきわめて速いことから、常温では蛍光変化の経時変化を追尾することは不可能である。また。このシステムを構築するためには高度に精製された酵素が大量に必要であることもわかった。そこで、このシステムを完成するために、さらに(1)酵素反応を遅延するために氷点下での同酵素反応の検討、(2)クロ-ニングによるPQQGDHの大量生産に関する研究を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Sode: "Screeing of QuinoproteinーGlucose Dehydrogenase from Marine Bacteria" Abst.2nd Int.Sym.on PQQ and Quinoprotein. 27 (1991)
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[Publications] K.Sode: "Salinity Dependency of Quinoprotein Glucose Dehydrogenase Activity Isolated from a Marine Bacterium" Abst.2nd Int.Sym.on PQQ and Quionoprotein. 55 (1991)
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[Publications] K.Sode: "Isolation of Quinoprotein Glucose Dehydrogenase from Marine Bacteria" Appl.Microbiol.Biotechnol.
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[Publications] K.Sode: "Salinity Dependence of Quinoprotein Glucose Dehydrogenase Activity Isolated from Marine Microorganisms" FEMS Microbiol.Lett.
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[Publications] K.Sode: "Fluorescence Character of Free and Binding PQQ" FEMS Microbiol.Lett.