1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03806003
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Research Institution | Oita Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 章 大分短期大学, 助教授 (60105210)
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Keywords | 焼畑 / 椎葉村 / 不均一な栽培環境 / 作物の不斉一性 / ヒエ |
Research Abstract |
圃場の均質化・発芽や出穂の斉一性の追求など,農業は均一な管理法で効率的に栽培を行う方向に農業は発展してきた.椎葉村に伝わる焼畑の調査を行ってきたが,水田や常畑に較べると著しく不均一である.焼け残りを集めて並べるだけで,残った石や切株を取り除くこともなく,耕耘さえほとんど行わない.作物の品種も十分に固定していないうえに混播してあるので,生育状況も不均一である.しかし,収量は低くても,そのためにかえって気象状況の変動にたいして比較的に安定であるように観察された.このような不均一な状況を具体的に明らかにするために,今年度は生育状況を測定する調査区を設定して分散の概略値を知り,精度よく生育状況の分散を推定するために必要なサンプル数を明らかにした.また,在来の3品種のヒエ(シロヒエ,オソビエ,ケビエ)については本学の圃場で栽培観察し,それぞれの特徴を明らかにしようとした.さらに,長期自記温湿度計・長期自記雨量計を設置して気象に関する基礎的なデ-タを得ると同時に,焼畑とその周辺7か所にシックス最高最低温度計を設置して1か月ごとの観測をおこなった. 作物の生育状況を見ると不均一であったが,母集団の分散を精度よく求めるにはサンプル数が不足した.たとえば7月のヒエ150本の草丈の平均は45.5cmであったが,最高は86.0cmにおよび最低はわずかに12.0cmであった.この母集団の分散を10%の精度で推定するには今回選んだサンプル数の150本では不足し,その20倍の3,000本以上のサンプルを必要とする計算になる.圃場試験では草丈と分げつはオソビエがやや盛んで,出穂はシロヒエが3〜6日早いことがわかった. 焼畑の中でもやや谷の部分と日当りのよい中腹の部分では最高・最低気温に0.5〜2.0℃の差が認められた.
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