1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03806011
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西村 和雄 京都大学, 農学部, 助手 (50135547)
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Keywords | 組織培養 / カルス誘導 / マングローブ / 発芽種子 / 再分化 |
Research Abstract |
これまで培養細胞がえられたという報告のなかった、マングローブについてカルスの誘導を試み、誘導技術の確立と、再分化条件について検討をおこなった。供試したマングローブはRhizophoraceae(ヒルギ科)の3樹種(Kandelia candel,Rhizophora stylosa,Bruguiera gymnorrhizaで、まずカルスを誘導する際に用いる部位の検討をおこなった。 沖縄本島億首川のK.candel(メヒルギ)自生地から、propagule(発芽種子)を採種し、また同じ生息地から持ち帰ったpropaguleを水耕で培養した幼植物から葉のapical merystem及びroot merystemをえ、細胞培養の供試材料とした。ホルモンは2,-4DとKinetinとし、それぞれ5^*10-5,5^*10-6,5^*10-7Mの濃度でMurasige Skoog寒天培地を調製した。Apical merystemは置床後わずか数日の間に褐変・壊死し、root merystemは完全な殺菌ができず雑菌の汚染が認められたが、ropaguleからカルスの誘導が確認された。R.stylosa(ヤエヤマヒルギ)の場合は、幼若なpropa-guleをもちいた場合のみ、特定のホルモン濃度の組み合せからカルスの誘導が確認された。B.gymnorrhiza(オヒルギ)からのカルス誘導実験でも、成熟したpropaguleより、発芽後数cmのもののほうが雑菌の汚染がすくなく、確実にカルス誘導ができた。以上、カルス誘導に供試したRhizophoraceaeのマングローブ 3種類では、いずれもpropaguleの未熟個体の成功率がたかく、terminal merystemやroot merystemでは、消毒の影響によって組織の褐変や壊死がおこり、成功率はきわめて低かった。propaguleからは確実にカルスの誘導が可能となった。 R.stylosaを供試材料として、培養細胞を得、継代培養の培地で増殖させたのち、2,4-DまたはIAAとKinetinとを組み合わせて、再分化実験をおこなった。この実験は4回おこなったが、数個の不定芽を得ることができた。さらに継続して再分化実験をおこなっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 二宮 生夫 西村 和雄 バリー クラフ 荻野 和彦: "異なる塩分濃度で栽培したmangroveの光合成特性" 日本林学会大会発表論文集. 第102回. 499- (1 91)
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[Publications] Malee Satsrinarong,岡田 昌明,西村 和雄,荻野 和彦: "組織培養法によるマングローブ増殖技術に関する研究-繁殖子由来のカルス様細胞の誘導-" 日本林学会大会発表論文集. 第103回. 483- (1992)