1991 Fiscal Year Annual Research Report
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03806016
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Research Institution | Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
松本 晃幸 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (60132825)
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Keywords | 食用担子菌 / シイタケ / 子実体形成 / 形態異常 / ミネラル組成 / カルシウム / マンガン |
Research Abstract |
1、正常子実体のN,P,K,Mg,Ca,Na,Mn,Fe,ZnおよびCu含量は幼子実体で高く、肥大生長にともなって低下する傾向が認められた。また、各ミネラルの含量は傘と柄とでも異なり、Caを除けば柄より傘の方が高い値であった。 2、異常子実体のN,P,K,Mg,Na,Fe,ZnおよびCu含量は正常な幼子実体の含量と同等か、若干低いレベルであり、また、成熟子実体の含量と同等か、若干高いレベルであった。しかし、異常子実体のCaおよびMn含量はいずれの生長段階の正常子実体の含量よりも高かった。たとえば、TMIー655株では、異常子実体のCaおよびMn含量はそれぞれ乾燥重量1g当り1.9mgおよび110.1μgであり、正常な成熟子実体の傘のそれぞれ19および5.3倍、幼子実体の1.3および2.7倍であった。 3、調査したミネラルの大半は基質であるほだ木には子実体より低濃度で存在していた。しかし、ほだ木のCaおよびMn含量は子実体より高いレベルにあり、乾燥重量1gあたり辺材部でそれぞれ、1.2mgおよび52μg、内樹皮部ではそれぞれ、26mgおよび91μgであった。また、ほだ木内のミネラル量は子実体の生長にともなって変動した。子実体直下の辺材部のN,P,K,FeおよびZn量は子実体の肥大生長が活発な生長初期に増加し、傘が開き始めると減少傾向となり、傘の全開時には子実体の発生前と同レベルになった。NaおよびCu量は子実体の生長にともなって傘が八分程度開く頃まで増加した後、減少した。Ca,MnおよびMgでも発生前の含量より高い値が一時的に認められ、その時期はCaが幼子実体期、Mnが傘が開く前、Mgが傘が八分程度開いた時期であった。子実体値下の内樹皮部のミネラル量もおおむね辺材部の変動パタ-ンに類似した。以上の結果より、正常子実体の形成時には子実体非形成部位から子実体形成部位への活発なミネラルの集積が推察された。
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