Research Abstract |
1,シイタケのほだ木およびブナ木粉培養物のN,PおよびK含量が子実体形成におよぼす影響を検討した.その結果,ほだ木およびブナ木粉培養物のN,PおよびK含量を高くすることにより,子実体発生量は増大する傾向を示した.しかし,N,PおよびK含量が増大しても,発生した子実体のこれら3元素の含量には,大きな差は認められなかった.これらの結果より,基質におけるN,PおよびK含量は子実体発生量に大きく影響するが,子実体の含量は基質の含量に左右されず,一定に保たれる傾向が示唆された. 2,上記同様に,CaおよびMn含量について,子実体形成への影響を検討した.その結果,ブナ木粉培養物のMn含量が高くなると子実体発生量は低下する傾向を示したが,ブナ木粉培養物のCa含量およびほだ木の両元素の含量は発生量に対して有意な影響を示さなかった.一方,子実体のCaおよびMn含量はほだ木およびブナ木粉培養物の含量に比例して増大し,比較的高含量を示した奇形子実体よりさらに高くなった.しかしながら,ほだ木あるいはブナ木粉培養物の両元素の含量を高くしても,奇形子実体の形成は認められなかった.したがって,シイタケ菌によるCaおよびMnの吸収は,上記のN,PおよびKと異なり,基質濃度に大きく影響され,正常子実体でも,これまでに採取した奇形子実体より高含量になりうることが明かとなった. 3,正常および奇形子実体の細胞内におけるCaよびMnの分布をエネルギー分散型X線分析装置(日本電子に依頼)で観察した.その結果,上記装置の検出範囲内では,正常,奇形の両子実体とも,細胞内の特定な部位にCaおよびMnの集積を認めることはできなかった.
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