1991 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質加水分解物からの栄養学的に特微を有するペプチド群の分離
Project/Area Number |
03806020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安達 修二 京都大学, 農学部, 助教授 (90115783)
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Keywords | オリゴペプチド / フィッシャ-比 / タンパク質加水分解物 / クロマトグラフィ- / プロテア-ゼ / 擬似移動層 |
Research Abstract |
特定のアミノ酸の多いまたは少ないオリゴペプチド群は、栄養学的、食品学的に興味深い特徴を有している。本研究では、肝硬変および肝性脳症に対する病態栄養食としての利用が期待されるFischer比(=(Val+Leu+Ile)/(Tyr+Phe)のモル比。以下F比)の高いオリゴペプチド群を、タンパク質の酵素的加水分解物からクロマトグラフ操作により群選択的に分離する。まず、タンパク質材料としてカゼインを用い、好ましい分解率を与える酵素の検索を行った。数種の市販プロテア-ゼを単独または逐次的に作用させたときの分解率を測定した結果、thermolysinとpapainを逐次的に作用させるのが最も適当であった。次に、このようにして得られた加水分解物より目的とする高F比ペプチド群を選択的に分離するためのクロマトグラフ充填剤を検索した。本研究では、各種ゲルろ過剤の示す弱い疎水性相互作用を利用することを考え、各種ゲルろ過剤の疎水性を鎖長の異なるnーアルコ-ルの溶出挙動より評価した。その結果、Sephadex Gー15またはBioーGel Pー2が適すると判断し、以下の検討はGー15を用いて行った。Gー15充填カラムにおける回分式クロマトグラフ操作により、カゼイン加水分解物(F比=2.6)をF比が5.1のペプチド群と0.6のペプチド群に分画できた。次に、擬似移動層型連続クロマトグラフィ-によりタンパク質加水分解物をF比の高いペプチド群と低いペプチド群に連続的に分離でき、分離操作の効率化が計れることを示した。本操作により得られたペプチド群はいずれも回分式操作により得られたペプチド群とほぼ同様のF比であった。このように、F比が5程度のペプチド群を回分式または連続式に得ることができたが、所期の目的にはさらにF比の高いペプチド群が好ましい。そこでさらに充填剤の検索を行った結果、活性炭を用いた吸着操作によりさらにF比の高いペプチド群の調製が可能であるとの知見を得た。
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Research Products
(1 results)