1992 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質加水分解物からの栄養学的に特徴を有するペプチド混合物の分離
Project/Area Number |
03806020
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安達 修二 京都大学, 農学部, 助教授 (90115783)
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Keywords | ペプチド / フィッシャー比 / 活性炭 / タンパク質加水分解物 |
Research Abstract |
栄養学的に特徴を有するペプチド混合物として、肝硬変および肝性脳症に対する病態栄養として有望なフィッシャー比(分岐鎖アミノ酸と芳香族アミノ酸のモル比)の高いペプチド混合物を取り上げ、カゼインの酵素的加水分解物よりクロマトグラフ操作により分離するために条件を検討した。平成3年度における検討で、活性炭を用いた吸着分離操作によりフィッシャー比の高いペプチド混合物が調製できる可能性が示唆された。そこで、平成4年度は、活性炭吸着分離プロセスの最適化およびペプチド混合物の栄養生理学的効果に関する検討を行った。吸着操作時のpHおよびエタノールの添加量が回収されるペプチド混合物のフィッシャー比、収率および平均鎖長に及ぼす影響を検討したところ、pH6.5ではエタノールの添加は顕著な影響を及ぼさなかった。しかし、pH2.5においては、エタノール添加量の増加とともにフィッシャー比は低下した。また、収率についてはエタノール濃度の最適値が存在した。目的とするフィッシャー比の最も高いペプチド混合物は、pH2.5でエタノールを添加しない場合に得られ、そのフィッシャー比は約32であった。この値は、現在臨床用に用いられているアミノ酸輸液のそれに匹敵する。さらに、種々のジペプチドの活性炭に対する吸着平衡を各種条件下で測定し、これらの結果が吸着ポテンシャル理論で整理できることを見い出した。また、活性炭を用いた吸着分離により調製した高フィッシャー比のペプチド混合物をラットに投与し、血液中および大脳皮質中のアミノ酸組成とフィッシャー比を測定し、いずれにおいてもフィッシャー比の有意な上昇が認められた。また、脳内モノアミンおよびその代謝物濃度を測定したところ、いくつかのモノアミン類について有意な変動が認められた。これらのことは、本研究で得られたペプチド混合物の栄養生理学的効果を示すものといえる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 安達 修二: "タンパク質加水分解物からの特徴的な組成を有するオリゴペプチド混合物の調製" New Food Industry. 34(9). 17-21 (1992)
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[Publications] Shuji Adachi: "Preparation of peptide mixture with high Fischer ratio from protein hydrolysate by adsorption on activated carbon" Bioseparation.
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[Publications] Shuji Adachi: "Biochemical Engineering for 2001" Springer-Verlag, 4 (1992)