1992 Fiscal Year Annual Research Report
海藻の雌性配偶子における性誘引物質の産生・分泌の仕組み
Project/Area Number |
03806022
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
梶原 忠彦 山口大学, 農学部, 教授 (90035121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 健二 山口大学, 農学部, 助手 (90199729)
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Keywords | 藻類 / 性フェロモン / 揮発成分 / 生合成 / 生理活性物質 / 配偶子 / 誘引物質 |
Research Abstract |
1.褐藻の仲間で特に配偶子の雌・雄の区別が匂いによって可能な褐藻カヤモノリ科ワタモ(Colpomenia bullosa)、カヤモノリ(Scytosiphon lomentaria、Scytosiphon sp.)ナガマツモ科マツモ(Analipus japonicus)に着目し、厳密に選別されたワタモ雌性配偶体を光照射・冷暗処理して入為的に雌性配偶子を放出させ、その配偶子が完全に着床した後に分泌性フェロモンを抽出し、その構造は(1R,2R)‐trans‐1‐(1E,3Z‐hexadieny1)‐2‐vinylcyclopropaneであることが初めて明らかとなった。 2.ワタモ、カヤモノリ、マツモの分泌物をGC、GC‐MSで詳細に比較分析し、これら褐藻から分泌される性フェロモンは、ホルモジレン、エクトカルペン、ディクティオテンなどの混合物で、その混合比は種に特有であることを明らかにした。他方、北海道(室蘭)で採集したカヤモノリ(Scytosiphon sp.)の雌性は、エクトカルペンを性フェロモンとして分泌することを発現した。 3.ワタモとカヤモノリ(彦島)からは(‐)‐(1R,2R)‐ホルモジレン(90%e.e.)が、そのエナンチオマーである(+)‐(1S,2S)‐ホルモジレン(66%e.e.)がマツモの配偶子から分泌されるという興味ある結果が得られた。 4.ワタモ、カヤモノリおよびマツモの雌性配偶子は、遊泳中には性フェロモンを殆ど分泌せず、位置が固定される着床時に分泌し、効率よく雄性配偶子を誘引する、性フェロモンの産生・分泌の様式を解明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T. Kajiwara, K. Matsui et al.: "Volatile Compounds from Japanese Marine Brown Algae." ACS Symp. Ser.,. (1993)
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[Publications] K. Kodama, T. Kajiwara et al.: "A Possible Precursor of Sex-Attractant from a Japanese Marine Brown Alga, Analipus japonicus." Phytochemistry. (1993)
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[Publications] K. Kodama, T. Kajiwara et al.: "Sex-Attractants Secreted from Female Gametes of Japanese Brown Alage, the Genus of Scytosiphon." Phytochemistry. (1993)
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[Publications] 梶原 忠彦: "海藻の科学(大石 圭一 編):海藻のセックスアトラクタント." 朝倉書店, (1993)
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[Publications] 梶原 忠彦: "化学で探る海洋生物の謎(安元 健 編):海藻の求愛行動に作用する匂い物質 化学増刊 121号" 化学同人, 71-78 (1992)