1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 隆洋 大阪大学, 医学部, 講師 (20135693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 講師 (00179649)
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Keywords | ニューロフィラメント / サブユニット蛋白質 / in vitro再構成 / リン酸化 / projection / crossbridge / 低角度回転蒸着法 / 急速凍結ディープエッチ法 |
Research Abstract |
本年度はニューロフィラメント(NF)、特にその本質的機能を担うと考えられているNF-H形態、すなわちprojectionあるいはcrossbridgeが脱リン酸化によりどのように影響されるかをin vitroの再構成NFを用いて明らかにしたことが主な収穫である。牛脊髄の有髄線維からNFを単離し、そのサブユニット蛋白質(分子量の小さい方からNF-L,NF-M,NF-Hとする)を分離精製し、各サブユニットを再び重合させトリプレットNFを作製した。更にNF-Hのみを重合させてNF-H NFも作製した。 この2種類の再構成NFをアルカリフォスタファーゼで脱リン酸化することによりどのようにNF-Hの担う形態が変化するかを主に低角度回転蒸着法(projectionのみ観察可能)と雲母を用いた急速凍結ディープエッチ法(projectionとcrossbridgeの両方観察可能)で検索した。その結果、低角度回転蒸着法による検索では従来の報告通り、projectionの形態には変化がみられなかった。しかし急速凍結ディープエッチ法による検索ではcrossbridgeの形態に定性および定量的な変化がみられた。すなわち脱リン酸化するとcrossbridgeの出現頻度が有意に減少し、かつcrossbridge自体に分枝が増加しsmoothでなくなることがわかった。この現象は両方の再構成NFでみられ、NF-Hがリン酸化されないとsmoothで規則的なcrossbridgeができにくくなることがわかった。現在packing densityの変化があるかどうかを超薄切片法で検索中である。 更に今回得られたin vivoでの所見であるが、神経細胞内のリン酸化及び非リン酸化NF-Hの存在状態について共にNFに組込まれていることは以前報告したが、細胞体、樹状突起においてはリン酸化NFの方が非リン酸化NFに比べてより小さい分子すなわちオリゴマーとして存在することが多いことがわかった。この意義については不明であるが、神経変性疾患及びアルミニウム中毒により神経細胞のこの領域でのリン酸化NF-HをもつNFが増加することに関与していることが推測される。
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[Publications] T.Gotow: "The cytoplasmic structure of the axon terminal" Progress in Neurobiology. 39. 443-474 (1992)
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[Publications] T.Gotow,M.Takeda T.Tanaka,P.H.Hashimoto: "Macromolecular structure of reassembled neurofilaments as revealed by the quick-freeze deep-etch mica method:difference between NF-M and NF-H subunits in their ability to form cross-bridges" European Journal of Cell Biology. 58. 331-345 (1992)