1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807002
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
清木 勘治 東海大学, 医学部, 教授 (40055934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 貢 東海大学, 医学部, 講師 (70162302)
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Keywords | 胎児胸腺 / エストロゲン(E) / エストロゲンレセプター(ER) / ER-mRNA / 血清胸腺因子 / 胸腺上皮細胞 / 胸腺T細胞 |
Research Abstract |
目的:'91年度にひきつづき、'92年度はヒト胎児胸腺の発育・機能分化に対する性ホルモン、特にエストロゲン(E)の関わりを形態・機能の両面から検討した。 材料と方法:妊娠中期に自然又は人工流産した胎児の胸腺組織をインフォームドコンセント手続きののち入手した。胸腺の一部はELISA法によるエストロゲンレセプター(ER)の定量とNorthern blotting法によるER-mRNAの検出に用いた。そして残りは免疫組織化学染色によるER、血清胸腺因子(FTS)及びケラチンの観察に利用した。 結果:妊娠中期胎児の胸腺ではERは16週目に初めて検出され、17週目で最高値に達し、以後24週目まで漸次減少した。また、ERmRNAも16週目から発現していて、24週目まで検出され、その分子サイズは6.6kbであった。 一方、免疫組織化学染色では、ER陽性細胞の出現は14週目と早く、以後24週目までその染色性は漸次増強した。ER陽性細胞の局在は主に胸腺髄質であり、また中〜大型の有突起細胞で、これらの細胞は同時にケラチン陽性を示すことから胸腺上皮細胞(EP・細胞)と同定された。同時に、FTS陽性細胞も14週目より出現し、24週目まで存在した。その局在様式はER陽性細胞とよく一致していた。しかし、ER-,FTS-陽性細胞ともに胎生中期には胸腺皮質には余り認められなかった。 総括:これらの実験結果からいえることは、胎生中期の胸腺では、EがEP細胞中のERを介して作用して、EP細胞におけるFTS産生を制御する。その結果、FTSは胸腺T細胞の増強、分化あるいは選択を制御するということである。 なお、本研究成果の要旨は第97回日本解剖学会総会(1992・4月愛媛大医学部)に於て発表した。
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