1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807019
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加納 良男 岡山大学, 医学部, 助手 (70116200)
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Keywords | ヒト細胞 / 細胞の老化 / 細胞の不死化 / 老化遺伝子 / 突然変異 / クロ-ニング / cDNAライブラリ- / 発現ベクタ- |
Research Abstract |
ヒト細胞の老化機構を解明するために本年度は老化遺伝子のクロ-ニングを試みた。老化遺伝子はまだ単離されていないが、もし細胞に寿命を与える遺伝子があるなら少なくとも次の4つの条件を満たしているものと考えて研究計画を立てた。1.もし遺伝子があるならその突然変異体が存在するはずである。2.その遺伝子は老化細胞で特異的に発現している。3.その遺伝子産物は細胞の増殖を停止させる。4.その遺伝子が不活化すると細胞は不死化する。であり以下の結果を得た。 1.細胞老化の突然変異体:我々は老化遺伝子の発現に異常があると考えられる変異細胞をいくつかもっている。これらの変異細胞と正常の各老化段階の細胞と合わせて8種類の細胞よりmRNAを取り、cDNAライブラリ-を作製し、老化遺伝子単離のための材料とした。 2.老化細胞で特異的に発現している遺伝子:若い細胞と老化変異細胞のcDNAライブラリ-を用いたDifferential Hybridizationにより、約100コの老化細胞で特異的に発現している遺伝子を得、コピ-数の少ない2つの老化候補遺伝子(Cー1とCー2)を選んで塩基配列の決定を行なったところ、どちらも未知の遺伝子であることがわかった。 3.細胞増殖への影響:Cー1,Cー2遺伝子を逆向きに発現ベクタ-に組みこみ老化細胞に導入して、それらのアンチセンスRNAを作らせたところCー1遺伝子において老化細胞のDNA合成上昇と増殖活性がみられた。 4.遺伝子の不活化と細胞の不死化:サザン法を行なったところ不死化している2例の細胞においてCー1遺伝子の欠失が見られた。 以上の結果は、Cー1遺伝子が有力な老化候補遺伝子であり、細胞の老化とがん化は密接に関連していることを示した。現在、3と4の実験で、ホルモン依存性発現ベクタ-に組みこんだCー1遺伝子を、Cー1遺伝子欠損不死化細胞に導入し、ホルモン投与による細胞増殖への影響を見ている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 加納 良男: "がんと細胞の不死化" Oncologia. 24. 43-53 (1991)
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[Publications] Mihara,K.: "Malignant transformation of human fibroblasts" Int.J.Cancer. (1991)
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[Publications] 加納 良男: "細胞の老化と不死化の接点" 組織培養研究. (1991)
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[Publications] Miyazaki,M.: "Immortalization of Human Liver Cells with SV40 Tーantigen gene." Int.J.Cancer. (1992)
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[Publications] Rhim J.S.and Dritschlo A.(eds.),Naba,M.: "Neoplastic Trasformation in Human Cell Systems in Vitro(Establishment and characterization of SV40 Tーantigen immortalized human liver cells.)" The HUMANA Press Inc., (1991)
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[Publications] Rhim J.S.and Dritschlo A.(eds.),Little,J.B.: "Neoplastic Trasformation in Human Cell Systems in Vitro(Transformation of human diploid fibroblasts by radiation and Dncogenes.)" The HUMANA Press Inc., (1991)